【9月17日 AFP】(一部更新)米ネバダ(Nevada)州リノ(Reno)で16日に開かれた航空ショーで、第2次世界大戦(World War II)中の戦闘機が観客席に墜落し、少なくとも9人が死亡、50人以上が負傷した。地元警察が発表した。

 戦闘機は大勢の観客が集まった観客席に、ほぼ垂直に墜落した。

 目撃者によると、機体はメインスタンドではなく、観客がゆったりとショーを見られるように設けられた、囲いで区切られたボックス席の並ぶエリアに墜落したという。ある目撃者は、メインスタンドに墜落して大惨事になるのを避けるために、パイロットが進行方向を変えたと話している。

 墜落した機体は、「ギャロッピング・ゴースト(Galloping Ghost)」と呼ばれる第2次大戦の戦闘機P-51ムスタング(P-51 Mustang)。フロリダ(Florida)州の不動産デベロッパー、ジミー・リーワード(Jimmy Leeward)氏(74)が操縦していた。リーワード氏は経験豊富な優秀なパイロットで、1975年からリノ航空ショーに参加していた。

■「爆弾が爆発したみたいだった」

 リノ・エアレース協会(Reno Air Racing Association)のマイク・ドレーパー(Mike Draper)氏は「墜落の原因はわからない」と述べた。レースに入る前、周回コースを回っているときにリーワード氏が非常事態だと連絡してきたという。

 同協会のマイク・ホートン(Mike Houghton)会長は、リーワード氏の健康に全く問題はなかったと述べた。ホートン会長によると、米国家運輸安全委員会(National Transportation Safety BoardNTSB)が事故後ただちに調査を開始しており、同委員会が事故による死者の最新情報を提供するという。

 目撃者のベン・シセル(Ben Cissell)さんは、「パイロットは観覧席を見て、最後の2秒で機体を持ち上げた。そのおかげで200~300人の命が救われたと思う」とCNNテレビに語った。

 事故当時シセルさんは、墜落地点から数十メートルしか離れていないところにいた。墜落したボックス席のエリアはテーブルやイスがならび、ベルベッドのロープで区切られていた。「墜落地点から100フィート(約30メートル)ほどのところにいた。航空機はボックス席エリアのちょうど真ん中付近に墜落したと思う」

 別の目撃者、ジェラルド・レント(Gerald Lent)さんは地元紙リノ・ガゼット・ジャーナル(Reno Gazette-Journal)に、「大虐殺みたいだった。爆弾が爆発したみたいだった。滑走路のいたるところに人が横たわっていた」と話した。「ある人は半分に引きちぎられていた。あちこちに血が付いていた。腕や脚もあった。誰かが『おい、こっちにも足があるぞ』と言っていた」(c)AFP/Michael Thurston