【9月17日 AFP】タイ当局は17日、前年バンコク(Bangkok)で起きた軍とデモ隊の衝突でロイター(Reuters)通信のカメラマン、村本博之(Hiroyuki Muramoto)さんを含む民間人13人が死亡した事件について、軍の「関与」があったと述べ、新たな調査を行うよう求めた。

 ことし2月には村本さんの死亡に軍兵士の責任はないと述べていたタイ特別捜査局(DSI)は主張を大きく変え、同事件の再捜査を警察に求めると述べた。DSIが大きな事件について発表したのは、前月、タクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相派の「赤シャツ隊」が支持する新政権が発足した後では初めて。

 DSIのタリット・ペンディット(Tarit Pengdith)局長はAFPに「DSIは(死亡が)当局者の作戦中に発生したと信じている。故に、われわれは彼らが死亡に関与したと信じている」と述べ、DSIは一貫して同じ主張だったと強調した。

 2010年4~5月にかけての暴動で死亡した90人以上の大半が民間人で、軍とタクシン派の赤シャツ隊の双方が、相手側が実弾を発射したと互いに非難していた。

 捜査当局者は、当初は村本さんが軍とデモ隊との衝突中に軍に殺害された可能性があるとしたものの、ことし初めになって警察の証拠によると村本さんの命を奪った弾丸は、軍が使っていないカラシニコフ自動小銃(AK-47)かそれに類する銃器から発射された可能性があると述べていた。

 タリット局長は、警察が民間人13人の死亡事件を検察に送り、検察が裁判所に新たな調査を求めるだろうと述べた。

 ロイター通信はこの動きを歓迎した。ロイター通信のスティーブン・アドラー(Stephen Adler)編集主幹は「村本さんの家族とロイターの同僚は、この悲劇がいかにして起きたか、背後に誰がいたのかを知る権利がある」と声明で述べた。(c)AFP

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