【9月6日 AFP】ジンバブエのロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領(87)が、2008年に前立腺がんで余命5年以下と宣告されていたことが、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」が前週、公開した米外交公電で明らかになった。

 公電は、当時のジェームズ・マクギー(James McGee)駐ジンバブエ米大使が、ジンバブエ準備銀行(Reserve Bank of Zimbabwe)のギデオン・ゴノ(Gideon Gono)総裁との会談内容を報告したもの。

 公電によれば、ゴノ氏は2008年6月4日、ムガベ大統領は前立腺がんで既に転移しており、医師に余命は3年から5年と言われていると、マクギー大使に伝えていた。また、ムガベ氏は医師から公務を減らすよう勧められていたという。

 当時のジンバブエは、ムガベ大統領とモーガン・ツァンギライ(Morgan Tsvangirai)現首相との大統領選決選投票を控え、暴力的な選挙戦が展開していた。結局、ムガベ大統領陣営によって支持者が襲撃されたツァンギライ氏が決戦投票からの撤退を表明し、ムガベ大統領が再選している。

 別の公電によると、ゴノ氏は2008年7月1日にも、「ムガベ氏は体が弱っている。公には強い顔を見せているが、実際は椅子から立ち上がることも困難だ」とマクギー大使に語ったという。

■シンガポールで治療か

 ジンバブエが独立した1980年以来、同国を支配してきたムガベ大統領は、自身の病気の噂を一蹴してきた。ムガベ大統領派、今年になってからしばしばシンガポールを訪れている。ムガベ氏の報道官は白内障の手術のためと説明しているが、各メディアはムガベ氏ががんを発症していると繰り返し伝えていた。

 ムガベ大統領の妻、グレース(Grace Mugabe)夫人も、腰の負傷が伝えられたあと、診察のためにシンガポールを訪れている。

 一方、ゴノ氏は5日、ジンバブエのメディアに対し、ムガベ大統領が前立腺がんなどと話したことはないと、ウィキリークスが公開した公電の内容を否定した。(c)AFP