【9月5日 AFP】2011年ラグビーW杯ニュージーランド大会(Rugby World Cup 2011)初戦のフランス戦を10日に控え、日本代表のジョン・カーワン(John Kirwan)ヘッドコーチ(HC)が5日、日本とニュージーランドで未だに苦しんでいる被災者の力になるプレーを選手に求めたいと語った。

 2月に発生したニュージーランド、クライストチャーチ(Christchurch)での地震から1ヶ月も経たずに、今度は大震災と津波が日本を襲い、多くの死者と行方不明者を出した上に、原発問題を引き起こした。

 通算7度目のラグビーW杯に挑む日本を指揮するカーワンHCは、「愛する人々のために、特に今は地震が起きたニュージーランドと日本の方々のために我々はプレーします。それが重要なことです。フィールドに出て、情熱を見せることがとても重要な時なのです」と、日本代表の選手に逆境の中で勇気を見せて欲しいと語った。
 
 かつて、ニュージーランド代表(オールブラックス、All Blacks)のウィングとして活躍したカーワンHCは続けて、「私は、勇気と深い献身のメッセージを皆さんにお返ししたい。成績は重要ではありません。大会を通した中での、私たちの姿勢こそが重要なのです。ニュージーランドと日本の方々が見せた最も素晴らしい点は、逆境の中での勇気です。その勇気は我々日本のラグビーチームにとってだけではなく、すべての人にとって重要なメッセージだと思います。隣人を尊び、困難なときに勇気を見せることは、まさしく私の目指す生き方であり、チームが目指すプレーなのです」と、被災者への尊敬の念を語った。

 しかしながら、カーワンHCは「この悲劇をモチベーションを上げるために使う必要はないと考えています。無粋だと思うので、その準備もしていません。それをどのように処理するかは各選手に委ねるつもりです」と震災を動機付けに使うつもりはないと付け加えている。

 2019年にアジアでは初となるラグビーW杯開催を控える日本は、1991年大会のジンバブエ戦で挙げたW杯唯一の勝利に新たな白星を加えようとしている。日本は世界ランク13位、フランスは欧州勢では最高位の同ランク4位となっている。(c)AFP/Robert Smith