【9月2日 AFP】アンチエイジング効果の高い「サボテン種子オイル」が、モロッコ(Morocco)の新たな美容特産品として注目されている。

■サボテン種子オイルとは?

 サボテン種子オイルは、ウチワサボテンの種子から抽出されるオイルで、16世紀にアメリカ大陸から輸入され、モロッコの人々に 伝統的な食物として親しまれてきた。熟した実はジューシーで甘く、メロンのような味が特徴だ。

 研究者のMohamed Boujnahは「サボテン種子オイルには、ビタミンEが多く含まれており、高い抗酸化作用があります」と語る。オイルを愛用する50代の女性も「オイル を使うようになってからどんどん調子が良くなり、弾力のある肌になりました」とその効果を評価する。
 
 ■モロッコに適したビジネス

 モロッコの約80%は、乾燥地帯と半乾燥地帯だ。その厳しい天候はサボテンの栽培に適しており、現在国内では新たな輸出品のひとつとして「サボテン栽培」が推奨されている。
 
 栽培の推進を行うEl Kebir Alaouoi M'Daghriは「伝統的な農業では、これほどに付加価値のある作物を生産することができませんでした。サボテン栽培には新たな可能性があります」と語る。国連もサボテン産業に期待を寄せ、国連開発計画(United Nations Development ProgrammeUNDP)を通じ、技術支援のために170万ドル(約1億3000万円)の資金援助を行った。

■オイルは最高級品

 1リットルのオイルを抽出するのに必要なサボテンは約8トン。オイルは市場で最高級品として扱われており、現在の取引価格は1リットルあたり約 1000ユーロ(約11万円)だ。

 27歳の起業家Redouane Stoutiは、広大なサボテン農園を経営し、毎月10リットルのオイルを抽出している。「機械でサボテンの実の中の種を潰し、オイルを抽出します。現在 はモロッコ国内に20か所の販売先があります」と語る。農園では約30人の女性がサボテンの実を収穫している。

■他国のビジネスモデルに

 モロッコ経済振興局でサボテン関連事業を担当するKarim Anegayは「モロッコ企業は『アンチエイジングに種子オイルが効果的』と宣伝していますが、今はまだ始まりにすぎないと思っています」と語る。

 もしモロッコでサボテン事業が成功すれば、荒涼とした他の熱帯地域の国々にとっても良いビジネス・モデルとなるだろう。(c)AFP

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