【8月31日 AFP】生息地の南極から3000キロ離れたニュージーランドの首都ウェリントン(Wellington)に近い浜辺で発見され、世界で最も有名なコウテイペンギンとなった「ハッピーフィート(Happy Feet)」が29日、同国の調査船タンガロア(Tangaroa)に乗って南極海へ向けて出港した。

 ハッピーフィートは断熱処理のされた箱に入り、タンガロアには獣医師チームが乗船した。港には、ハッピーフィートを見送る報道陣の姿があった。28日に2か月を過ごしたウェリントン動物園(Wellington Zoo)を離れる際には、最後の別れのあいさつに数千人の人びとが集まった。

 4日間の航海の後、ハッピーフィートは南極海に放される。そこでほかのコウテイペンギンと再会することができれば、いずれは南極大陸に戻ることもできるだろう。

 ウェリントン動物園の獣医チーム責任者、リサ・アルジラ(Lisa Argilla)氏は29日、国営テレビ・ニュージーランド(TVNZ)に対し、ハッピーフィートの自然への帰還について、「感情移入をしてしまうものだから、いつだって不安はあるけれど、でもとてもワクワクしている」と語った。「回復させることができたときは、仕事の中で最も好きな瞬間。だから楽しみにしている」

 アルジラ氏は調査船スタッフの2人とともに、南極海に到着するまでの間、タンガロアでハッピーフィートの世話をする。ハッピーフィートを放した後は、3週間ほどタンガロアに同乗し、ウェリントンに戻る予定だ。

 ハッピーフィートはほとんど一般に公開されなかったにもかかわらず、ウェリントン動物園の来園者はハッピーフィートの滞在中にほぼ倍増した。ニュージーランドのジョン・キー(John Key)首相や俳優のスティーブン・フライ(Stephen Fry)らも同ペンギンのファンだ。

 ハッピーフィートにはGPS(衛星利用測位システム)追跡装置が取り付けられるので、研究者や市民はウェリントン動物園のウェブサイトで、ハッピーフィートの動向を見守ることが可能だ。(c)AFP

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【参考】ウェリントン動物園のウェブサイト