シンガポール大統領選、与党支持のタン元副首相が辛勝 背景分析
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【8月30日 AFP】27日に投開票が行われたシンガポール大統領選は、実質的に与党・人民行動党(PAP)の支持を受けたトニー・タン(Tony Tan)元副首相が勝利した。だが、得票率は35%で、有権者の65%近くはPAPに批判的な候補に投票したことになる。辛勝という選挙結果は、権力の座にとどまりたければ、PAPはより開放的な方向に変革する必要があることを示したと言える。
■ タン氏の低得票率が示すもの
大統領選の結果について専門家らは、シンガポールの有権者が大統領選を通じて与党PAPに「重大な警鐘を鳴らした」と分析。シンガポール市民の間で政府に対する批判感情が強まり、変革を求める声を上げることを恐れなくなったためだと指摘する。
専門家らは、今回の選挙を有権者の不満により野党が歴史的な快勝をした5月の議会選が波及したものとみている。この時の議会選結果は、リー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相を内閣改造に踏み切らせている。
一方、27日の大統領選挙でタン氏の得票率が低かったことについて、政治学を専門とするシンガポール国立大学(National University of Singapore)のリューベン・ウォン(Reuben Wong)准教授は「PAPへの支持が、さほど強くないことを示唆している」と語る。「旧来の独裁的で保守的なPAPから、シンガポールの主流であり、もっとリベラルで多元的で、多様な考えに開かれた政党へと自己修正すべきかの判断をPAPは迫られるだろう」
また、金融グループCIMBのエコノミスト、ソン・センウン(Song Seng Wun)氏は、「シンガポールにとっての最善策を知っているのはPAPだ」と考える国民は減っており、若い世代がインターネットを通じて声をあげるようになり、既存の枠を押し広げていると指摘した。
富裕国家シンガポールが、政治統制に厳格な国から、より開かれた民主主義へと変化しつつあるなか、若い世代はフェイスブック(Facebook)やユーチューブ(YouTube)、ツイッター(Twitter)などを活用して、政府支持メディアの規制を回避している。
■ PAPの統制下で遂げた経済成長
独立からの長期政権を維持するPAPの下で、シンガポールは急速にアジアで最も裕福な1国家に登りつめた。シンガポールの2010年の1人当たり国内総生産(GDP)は5万ドル(約380万円)で、世界的にも最もGDPが高い国の1つになった。
こうした経済成長は、ある種の政治的な自由を代償に果たされたものだと批判する声もある。また、シンガポールの人々の間には「政府は全てをわかっている」との暗黙の了解のもとで、政府の政策へ異議を唱えることへを好まない傾向があった。
しかし、生活費の上昇や家賃高騰、収入格差の拡大に加えて、外国人労働者への寛容政策によってシンガポール人の雇用が奪われているとの不満などから、野党が支持を集めだした。5月の総選挙で、PAPは定数87議席のうち6議席を失ったが、これは前例のないことだった。さらには得票率も、67%近かった2006年総選挙から、過去最低の60%に落ち込んだ。
ソン氏は、シンガポール国民が政治的に成熟するにつれ、PAPは「最善策を知るのはわれわれだ」とのイメージを払拭(ふっしょく)せざるを得ないだろうと語った。「将来に向けた政策プロセスも変える必要があるだろう。もうシンガポール人も子どもではないのだから」(c)AFP/Martin Abbugao
■ タン氏の低得票率が示すもの
大統領選の結果について専門家らは、シンガポールの有権者が大統領選を通じて与党PAPに「重大な警鐘を鳴らした」と分析。シンガポール市民の間で政府に対する批判感情が強まり、変革を求める声を上げることを恐れなくなったためだと指摘する。
専門家らは、今回の選挙を有権者の不満により野党が歴史的な快勝をした5月の議会選が波及したものとみている。この時の議会選結果は、リー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相を内閣改造に踏み切らせている。
一方、27日の大統領選挙でタン氏の得票率が低かったことについて、政治学を専門とするシンガポール国立大学(National University of Singapore)のリューベン・ウォン(Reuben Wong)准教授は「PAPへの支持が、さほど強くないことを示唆している」と語る。「旧来の独裁的で保守的なPAPから、シンガポールの主流であり、もっとリベラルで多元的で、多様な考えに開かれた政党へと自己修正すべきかの判断をPAPは迫られるだろう」
また、金融グループCIMBのエコノミスト、ソン・センウン(Song Seng Wun)氏は、「シンガポールにとっての最善策を知っているのはPAPだ」と考える国民は減っており、若い世代がインターネットを通じて声をあげるようになり、既存の枠を押し広げていると指摘した。
富裕国家シンガポールが、政治統制に厳格な国から、より開かれた民主主義へと変化しつつあるなか、若い世代はフェイスブック(Facebook)やユーチューブ(YouTube)、ツイッター(Twitter)などを活用して、政府支持メディアの規制を回避している。
■ PAPの統制下で遂げた経済成長
独立からの長期政権を維持するPAPの下で、シンガポールは急速にアジアで最も裕福な1国家に登りつめた。シンガポールの2010年の1人当たり国内総生産(GDP)は5万ドル(約380万円)で、世界的にも最もGDPが高い国の1つになった。
こうした経済成長は、ある種の政治的な自由を代償に果たされたものだと批判する声もある。また、シンガポールの人々の間には「政府は全てをわかっている」との暗黙の了解のもとで、政府の政策へ異議を唱えることへを好まない傾向があった。
しかし、生活費の上昇や家賃高騰、収入格差の拡大に加えて、外国人労働者への寛容政策によってシンガポール人の雇用が奪われているとの不満などから、野党が支持を集めだした。5月の総選挙で、PAPは定数87議席のうち6議席を失ったが、これは前例のないことだった。さらには得票率も、67%近かった2006年総選挙から、過去最低の60%に落ち込んだ。
ソン氏は、シンガポール国民が政治的に成熟するにつれ、PAPは「最善策を知るのはわれわれだ」とのイメージを払拭(ふっしょく)せざるを得ないだろうと語った。「将来に向けた政策プロセスも変える必要があるだろう。もうシンガポール人も子どもではないのだから」(c)AFP/Martin Abbugao