【8月26日 AFP】陰茎の包皮切除手術中に悪性腫瘍を発見してペニスを切除した米ケンタッキー(Kentucky)州の医師が損害賠償を求められていた裁判の陪審員団は24日、損害賠償の支払いは不要との評決を下した。

 トラック運転手のフィリップ・シートン(Phillip Seaton)さん(64)は2007年、陰茎の炎症を改善するためジョン・パターソン(John Patterson)医師に包皮切除手術を受けた。だが麻酔からさめたシートンさんはペニスの先端を切除したと告げられた。

 シートンさんは、パターソン医師がシートンさんの同意なくペニスを切除したとして1600万ドル(約12億3000万円)の損害賠償を求める訴えを起こした。切除の理由が悪性腫瘍を取り除くためだったとしても、シートンさんはセカンド・オピニオンの機会を与えられる権利があったと主張した。

 これに対しパターソン医師は、患者にとって最善の処置を施したにすぎないと主張。同意の問題についても、手術前にシートンさんがサインした同意書で十分なはずだと述べた。

 陪審員12人中、10人がシートンさんは手術に同意していたとみなし、全員がパターソン医師の手術は「相当の注意」を払っていたと判断した。陪審員の1人は地元紙に「残念な状況だったと思う。私たちはシートンさんに同情している。だが彼は現在も生きている。これは、この医師が手術を行ったからだ」と語った。

 シートンさん側は上訴する構えだ。シートンさんの弁護士、ケビン・ジョージ(Kevin George)氏は記者団に対し「(シートンさんがサインした)同意書をよく読めば、切断が認められるのは右足だけだったことがわかる」と指摘し、上級審でもシートンさん側の主張が認められなければ、手術前の同意内容に関わらず手術中に緊急性がない余計なことをされても文句を言えなくなる、危険な判例になる恐れがあると主張している。(c)AFP