【8月23日 AFP】子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防するワクチンが、女性の肛門がんの発症リスクも減らすとの研究結果が、23日の英医学誌「ランセット・オンコロジー(Lancet Oncology)」に掲載された。

 研究はコスタリカの18~25歳の健康な女性4210人を対象に、HPVワクチン「サーバリックス(Cervarix)」とA型肝炎ワクチンのいずれかを無作為に選んで投与し、4年後に女性たちの子宮頸部と肛門へのHPV16型と18型の感染の有無を調べた。

 結果、サーバリックスの投与を受けていた女性の子宮頸部感染リスクは、ワクチンの投与を受けていた女性よりも76%低く、また肛門感染リスクは62%低かった。

 女性の肛門がんの年間発症件数は10万人に2例程度と少ないが、男性と比較して女性のほうが2倍かかりやすい。この原因は明らかになっていないが、肛門を使った性交が原因の可能性もある。

 人口全体では、男性同士で性交をする男性が肛門がんにかかりやすく、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染していない同性愛者では10万人のうち年間で40例、HIV感染者では10万人に80例ほどとなっている。

 これまでの研究で、肛門がんの大半の原因がHPVであることや、HPVに関連した肛門がんでは、症例の80%近くがHPV16型または18型により引き起こされていることが分かっている。

 米ミズーリ大(University of Missouri)の専門家、ダイアン・ハーパー(Diane Harper)氏とスティーブン・フィールターレル(Stephen Vierthaler)氏は、ランセット・オンコロジーに掲載された論文で、肛門がんの対策としてのHPVワクチン接種の費用効果ははっきりしないと述べた。(c)AFP