【8月23日 AFP】筋力が徐々に衰えていき、最終的には全身がマヒする筋萎縮性側索硬化症(ALS)。そのALSに共通する発症原因を脳と脊髄内の細胞の再生メカニズムが機能不全に陥るためだとした研究結果が、21日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 米ノースウエスタン大(Northwestern University)の研究チームによると、神経がまひするALSの発症原因は、神経細胞内のたんぱく質構成要素を再生利用するシステムに問題が起きるためで、この機能不全は遺伝型ALS、孤発性(非遺伝型)ALS、認知症を伴うALSのすべてで見られた。

 より正確には、再生メカニズム機能不全の原因はユビキリン2と呼ばれる有機化合物にあるという。ユビキリン2は神経細胞内の欠陥または損傷のあるタンパク質の再生利用を促す役目を持つ。このため、ユビキリン2が働かないと、神経細胞内に損傷したタンパク質が堆積し、神経細胞を著しく破壊してしまう。

 ノースウエスタン大のティープ・シディーク(Teepu Siddique)教授(神経学)は「効果的なALS治療法の発見につながる全く新しい領域を開いた」と研究を評価し、「今後は、ユビキリン2が本来の機能を果たすようユビキリン2の経路を制御するか最適化させる薬剤実験に取り組む」と話した。

 ALSは症状が進行すると、手足や舌、喉などの筋力が衰えるため、発話が不明瞭になり、食べ物や唾液を飲み込むことや呼吸も困難となる。ALSの患者は世界に約35万人いるとされ、米国の伝説的な名野球選手ルー・ゲーリック(Lou Gehrig)もALSを発症して1941年に死亡している。(c)AFP