【8月22日 AFP】オーストラリアで発見された微化石を分析した結果、酸素のなかった34億年前の地球にバクテリアが生息していたことが確認されたとの論文が、21日の英科学誌「ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)」に掲載された。

 この微化石は、豪ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州ピルバラ(Pilbara)地方の石英砂粒から発見されたもの。ピルバラ地方には、地球がまだ水の惑星で、海水が風呂のお湯ほどの温かさだったと考えられている始生代(Archean Eon)という時期の地層がある。

 ピルバラ地方では2002年、今回の化石が見つかった場所から35キロほど離れた場所で、別の研究チームが微生物の化石を発見したと発表していたが、一部の専門家から岩石が鉱化した跡にすぎないのではないかとの意見が出され、10年近く議論が続いていた。

 ウエスタンオーストラリア大(University of Western Australia)と英オックスフォード大(Oxford University)の研究チームがピルバラ地方で採取した微化石を電子顕微鏡を使う最新の手法と分光技術を用いて調べたところ、これまで見つかったなかで最古の化石であることを3重の証拠で確認したと発表した。

 研究チームによると、この太古の細菌は硫黄化合物を食べて生きていたとみられる。化石のサイズはわずか10マイクロメートル程度。だがその化石は細菌の細胞の形状をしており、さらに鉄と硫黄の化合物、黄鉄鉱(パイライト)の微細な結晶も発見された。これは、生物が硫黄などを代謝したことによる副産物であることは明らかだと研究チームは述べた。

 硫黄を食べる微生物は現在でも悪臭を放つ水路や土壌などに生息しており、海底熱水鉱床に生息するものは「極限性微生物」として知られる。

 オックスフォード大のマーティン・ブレーザー(Martin Brasier)教授は「ついに34億年前の生命の動かぬ証拠を手に入れた。当時バクテリアが酸素なしで生きていたことを示している」と声明を発表した。「これらの生命が火星に存在するだろうか?ありえるだろう」

(c)AFP