【8月16日 AFP】世界銀行(World Bank)は15日、四半期報告書「フードプライスウォッチ(Food Price Watch)」を発表し、食料価格が記録的な高値となり、一次産品市場の不安定さにより世界で最も貧しい人びとが生存の危機に追いやられていると警告した。

 報告書によると、7月の世界の食料価格は前年同月比で33%高騰したほか、原油価格が同45%上がり、肥料価格の高騰を引き起こした。

 世銀のロバート・ゼーリック(Robert Zoellick)総裁は声明を発表し、「食料価格が高く、食料在庫が少ない状態が続いており、現在も危険ゾーンにあるといえる。最もぜい弱な人びとが最も対応をとれない状況だ」と述べ、「現状の不確実性と不安定さを前提とすると、注意深く見守ることが不可欠だ」と語った。

 過去最高だった2008年に迫りつつある食料価格は、「アフリカの角(Horn of Africa)」と呼ばれるアフリカ大陸北東部における緊急事態を引き起こした主要因となっている。

 世銀によると、1200万人の生命を脅かしているアフリカ北東部の飢饉で、ソマリアでは過去3か月で5歳以下の子ども2万9000人が死亡し、さらに子ども60万人が危険にさらされている。

 世界銀行は、アフリカ北東部の人命を救い、社会的保護を向上させ、干ばつへの対応力を高め、経済復興を促すため、6億8600万ドル(約530億円)を拠出。今年に入って主要20か国・地域(G20)に食糧危機を主要議題とするよう再三要求してきたゼーリック総裁は、アフリカ北東部には追加資金援助が緊急に必要だと呼びかけた。

 これまでの援助額は10億3000万ドル(約790億円)に上っており、そのうち8億7000万ドル(約670億円)が緊急支援に、残りがより長期の目標のために使われている。世銀は、さらに14億5000万ドル(約1100億円)が必要だと推計している。(c)AFP/Veronica Smith