【8月17日 AFP】コーヒーは腫瘍(しゅよう)の元となる損傷細胞の死滅に手を貸し、皮膚がんリスクを減少させるとする実験結果が、15日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 実験結果は、カフェイン入りコーヒーを適度に飲むか皮膚にコーヒーを塗布するだけで、最も一般的な皮膚がんである非黒色腫皮膚がんを回避できる可能性を示している。

 1日1杯程度のカフェイン入りコーヒーにはタンパク質リン酸化酵素ATRを抑制して紫外線で損傷した細胞を死滅させる効果がある、とする研究は、これまでに何本か発表されてきた。

■紫外線照射19週間で腫瘍は半分以下

 米ラトガース大(Rutgers University)の研究チームは、遺伝子を改変してATRを抑制したマウスに紫外線を当てる実験を行った。

 これらのマウスではその後、皮膚がんが発現したものの、発現は通常のマウス(対照群)より3週間遅かった。照射開始から19週間後、これらのマウスでは対照群に比べて腫瘍が69%少なく、浸潤性腫瘍の数も4分の1程度だった。

 だが、防御効果はそこまでで、照射開始から34週間後にはすべてのマウスで腫瘍が進行した。

 それでも、ATRを抑制すれば、紫外線を浴びても皮膚がんが大幅に抑制されることが確認された。カフェインを服用または皮膚に塗ると、ATRを抑制することにより効果を発揮するという仮説が正しかったことになる。人体でも実験を重ねる必要があるとしながらも、この研究に参加した研究者は「カフェインはATRを抑制できるため、皮膚がん予防の武器になるかもしれない。紫外線を直接吸収してくれる日焼け止めとしての用途も期待できる」と話した。

 これまでの研究で、コーヒーを常飲する人では乳がん、子宮がん、前立腺がん、大腸がんの罹患率が低い傾向があることが分かっていた。カフェイン抜きのコーヒーを飲む人では、こうした効果は確認されていない。(c)AFP/Kerry Sheridan