【8月11日 AFP】英国の暴動をめぐり、ネット市民の間ではソーシャルメディアを活用して暴徒たちに対抗しようとする動きが広がった。

■ネット掲載写真で暴徒を特定

 インターネット上には暴動発生から間もなく、携帯電話のカメラやビデオカメラ、防犯カメラなどで撮影された、覆面をした暴徒たちが火炎瓶を投げたり略奪を働く姿が公開され始めた。

 ロンドン警視庁は容疑者の特定にソーシャルメディアを利用する試みを試験的に開始し、暴徒の写真25枚を写真共有サイト「フリッカー(Flickr)」に掲載したが、むしろ大きな影響力を発揮しているのは一般のネット市民が立ち上げたウェブサイトだ。

「Catch A Looter(暴徒を捕まえろ)」は、ブログサービス「タンブラー(Tumblr)」に匿名で立ち上げられたこうしたサイトの1つで、商店から家電製品や洋服などを抱えて出てくる暴徒や、火炎瓶を投げる暴徒たちをアップ撮りした写真を多数掲載。ネットユーザーたちに、匿名での犯罪通報システムを運営するNPO「クライムストッパーズ(Crimestoppers)」に通報するよう呼びかけた。

 もっとも、開設から1日で設立者はサイトの更新停止を発表した。理由は、暴動が全国に拡大したため「集まる写真が多すぎ、管理しきれなくなった」ためという。

 一方、グーグル(Google)が提供するSNS「グーグル・グループ(Google Group)」に立ち上げられた「London Riots Facial Recognition(ロンドン暴動・顔認識)」は、ネット上に公開された写真に写った暴徒の顔から、身元を特定しようというサイトだ。SNS最大手フェイスブック(Facebook)の顔認識機能と同様の技術を用いているとされる。

 ただ、顔認識技術の使用には違法性も指摘されている。

■「1杯の紅茶」で暴徒たちに対抗

 ソーシャルメディアが活躍しているのは、暴徒の追跡だけではない。非常に「英国的」な暴徒対策サイトの1つが、10日にフェイスブックとマイクロブログサービス・ツイッター(Twitter)で始まったキャンペーン活動「Operation Cup of Tea(1杯の紅茶作戦)」だ。

 暴動に参加しない意思を示すため、1杯の紅茶を入れ、その写真をネットに掲載しようとする試みで、この活動は既にツイッターのトレンド上位に上がっている。(c)AFP

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