【8月9日 AFP】アフガニスタンで駐留米軍のチヌーク(Chinook)ヘリコプターが撃墜され、米軍兵士30人を含む38人が死亡した攻撃について、アフガニスタン政府高官は8日、偽の情報で米軍をおびき出した、旧支配勢力タリバン(Taliban)のわなだったと語った。

 匿名を条件にAFPの取材に応じたこの政府高官は、タリバンのカリ・タヒル(Qari Tahir)司令官が、タリバンの会合があると、うその情報を米軍に流し、米軍部隊を現地におびき出したと説明。この作戦には、パキスタン人4人が協力していたという。

「タリバン側は、ヘリがどのルートを飛んでくるかを把握していた。あれが唯一のルートだったので、タリバンは谷を臨む両側の山に陣取り、ヘリがやってくるとロケット弾や現代兵器で攻撃したのだ。ヘリは複数の攻撃をうけて墜落した」(アフガニスタン政府高官)

 5日夜に撃墜されたヘリには米海軍特殊部隊SEALS(シールズ)の22人や空軍特殊部隊の3人が乗っており、米軍の精鋭特殊部隊は大きな痛手を負った。このヘリ撃墜による犠牲者数38人は、2001年に米軍主体のNATO軍がアフガニスタンに進攻して以降、一度に死亡した外国軍兵士の数としては最多。バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、ヘリ撃墜を「今回限り」で二度とないことだと述べ、米国の戦略を変えることはないと言明している。

 同高官によると、アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)政権はこの攻撃は、5月のウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者殺害に対する報復とみているという。(c)AFP/Sabawoon Amarkhail

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