【8月5日 AFP】シリア政府が反体制デモに対する武力弾圧を続ける中、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は4日、バース・アラブ社会党(Baath)による事実上の一党独裁からの転換と言える、野党を公認する大統領令を発令した。

 シリアの憲法では1963年に政権を樹立したバース党を「国家を指導する政党」と位置づけ、バース党が主導する与党連合への参加政党以外の政党・結社を公認していなかったが、新法はこれを認めるものとなる。

 政治の多元化は、3月15日以来シリア全土でほぼ毎日行われている街頭デモで、改革と自由の拡大を叫んでいる反体制派が、要求の先頭に掲げてきたものだ。

 今回の野党を公認する大統領令は、反体制派に対する武力弾圧を緩めない一方で、鎮静化を図ろうとするアサド政権の最新の動きでもある。

 同様の動きでアサド大統領は4月、約50年間続いた非常事態法を解除し、また国民に恐れられていた国家治安裁判所も廃止した。6月には国民対話を呼び掛け、改憲や一党独裁の見直しもちらつかせた。

 一方で反体制派の活動家らは、当局による弾圧は一向に弱まっていないと訴えている。人権団体などによると、アサド政権の弾圧によるこれまでの死者の数は1600人を超え、さらに多くの市民が逮捕・拘束されている。3日には国連安全保障理事会(UN Security Council)がシリア政府を非難する議長声明を採択した。

 しかし同日にも、反体制派の拠点のひとつとなっているシリア西部ハマ(Hama)で、デモに対して治安部隊が戦車で砲撃、参加していた少なくとも30人が殺害された。死亡した人たちの遺体はいくつかの公園に埋葬されたという。

 欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)外務・安全保障政策上級代表(外相)は、シリアで野党を公認する大統領令が発令されたことについて「正しい方向に向かうための基本の一歩。ただし、それが本当に実行されればだが」と述べた。(c)AFP