【8月2日 AFP】アフリカ開発銀行(African Development BankAfDB)のドナルド・カベルカ(Donald Kaberuka)総裁は1日、アフリカ大陸北東部の「アフリカの角(Horn of Africa)」と呼ばれる地域の飢饉(ききん)の原因は気候変動だけではなく、「われわれがソマリア内戦の終結に失敗した」ことだと述べた。

「この大惨事のきっかけは過去60年で最悪の干ばつだが、その大きな部分はわれわれがソマリアの内戦を終結させることに失敗したことによる」と、カベルカ総裁は語った。

 1991年のクーデターでモハメド・シアド・バーレ(Mohammed Siad Barre)大統領が追放されて以降、ソマリアの大部分は、長らく暴力のはびこる無法地帯と化している。カベルカ総裁は、AFPのインタビューに「食糧不足が飢饉に発展するには、何かが作用しなければならない」と語った。

「いまは人命を救うことが緊急の課題だが、地元当局と協力して長期的な計画にも取り組み、基礎的な問題を解決しなければならない。これは基本的には、地域内の畜産家が回復力のある持続可能な暮らしを送れるようにしていくことだ」(カベルカ総裁)

■「国際社会は兵たん支援を」

 カベルカ総裁は、インフラ整備の進んだ英国や米国などでは水不足や干ばつになっても大規模な飢饉は起きないと指摘し、ソマリアの利水環境を整備し、貯蔵施設を作り、インフラを機能させれば「干ばつは来るかも知れないが、飢饉にはならないとの印象を持っている」と述べた。

 また、カベルカ総裁は、ソマリア北部のソマリランド(Somaliland)やプントランド(Puntland)など、同国内でも法の支配が及ぶ平和な地域に、国際社会が「入り込んで支援を行う」ことを求めた。さらに、ソマリアの安定化を目指しアフリカ連合(African Union)が派遣したアフリカ連合ソマリア・ミッション(African Union Mission to SomaliaAMISOM)部隊への兵たん支援が必要だと呼びかけた。

「AMISOMは人員不足で装備不足。兵たん支援も十分でない。十分だったならばソマリア情勢は容易に安定化して、ソマリア国民は自分たちの望む政府について話し合いを始めていただろう」と話したカベルカ総裁は、「兵士を海外に派遣してくれと言っているのではない。それはアフリカでまかなえる。必要なのは兵たん支援なのだ」と、食糧提供や輸送面の支援、ヘリコプターの提供などを求めた。

 ルワンダの財務相を歴任したカベルカ総裁は、2010年にアフリカ開発銀行総裁の2期目に再選された。現在は、国際開発についての会議に出席するために米国を訪れている。(c)AFP/Karin Zeitvogel