【8月2日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相は1日、巨大な財政赤字で世界経済に不安を与えている米国を、「世界経済に寄生しているようだ」と批判した。

 ロシア中部のセリゲル(Seliger)湖畔で行われた与党支持・青年運動組織「ナーシ(Nashi)」のサマーキャンプを訪れたプーチン氏は、青年らを前に行った講演のなかで、「あの国(米国)は借金暮らしをしている。だが、収入に見合った生活をせずに、責任の重さを他国に移している。いわば『パラサイト(寄生生物)』のような生き方だ」と、米国を批判した。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は7月31日夜、米国史上初の債務不履行(デフォルト)を回避するため議会指導部との合意に達したと発表した。だが、合意には膨れ上がる財政赤字を削減するため、痛みを伴う大幅な歳出削減も組み込まれた。

 オバマ大統領の発表により世界の金融市場にも当初は安堵(あんど)感が広がり、モスクワの株式市場も1日の取引は前営業日の終値より2%ほど高く始まった。しかし、じきに投資家の間に再び合意案への不安が漂い始め、株価は急落した。

 プーチン首相は、最近の米国の外国為替政策や、中国やロシアなどの外国が米国債を保有することで維持されている米国の財政を繰り返し批判してきた。

 欧米の主要格付け会社が米国債を格下げすれば、米国債の価値は著しく下がってしまう。こうした事情から、プーチン氏は「米国が構造的な機能停止に直面すれば、誰もが影響をうける」と述べ、世界各国は米ドルに代わる新たな国際準備通貨の導入を探るべきだと訴えた。

 また、オバマ大統領の合意発表についても、「全体的にみれば大きなことではない。根本的な解決を先送りしたにすぎないからだ」と、懐疑的な見方を示した。

 12月のロシア下院選挙が近づくなかで、多くの政治アナリストが、事実上のロシアの指導者といえるプーチン氏の動向を注視している。(c)AFP