【8月1日 AFP】地球と同じ公転軌道上を回る「トロヤ群小惑星」を初めて発見したという論文が、28日付の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 トロヤ群小惑星とは、惑星の公転軌道上にあって、惑星・恒星との位置関係を保ちながら公転する小惑星。このためトロヤ群小惑星が惑星と衝突することはない。木星や火星、海王星にもトロヤ群小惑星があることはすでに知られており、また土星の衛星のうち2つにも同様の小惑星がある。

 米航空宇宙局(NASA)の科学者らは、広域赤外線探査衛星「WISEWide-field Infrared Survey Explorer)」を用いて地球のトロヤ群小惑星を発見した。天文学者は以前から、地球にもトロヤ群小惑星があると考えてきたが、太陽光のため観測が困難で、その発見は非常に難しかった。

「WISEは大きな変革をもたらした。地表からの観測が困難だったものの観測が可能になった」と、ネイチャー誌に掲載された論文の主執筆者、カナダ・アサバスカ大学(Athabasca University)のマーティン・コナーズ(Martin Connors)氏は語る。

 小惑星の直径はわずか300メートルで、地球から8000万キロ離れており、「2010 TK7」と命名された。公転軌道面を上下に移動しながら公転するという特異な軌道をもっており、これが科学者らの注目を集めた。

 コナーズ氏の研究チームはトロヤ群小惑星を特定するため、地球近傍天体(NEOs)のデータも使って、2010年1月から11年2月まで全天を観測した。米ハワイ(Hawaii)島マウナケア(Mauna Kea)にある「カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(Canada-France-Hawaii Telescope)」も使った。

 コナーズ氏によると「この小惑星の軌道は少なくともあと1000年は安定」しており、地球との距離を保っている。NASAによれば、今後100年は地球から2400万キロ以内に接近することはない。(c)AFP