【7月27日 AFP】中国当局が、地元ジャーナリストによる高速鉄道衝突事故の取材を禁止したと、米国を拠点にする中国関連のニュースサイト「チャイナ・デジタル・タイムズ(China Digital Times)」などが26日報じた。事故を受けて、中国では、安全対策への疑問や国民の批判の声が巻き起こっている。

 チャイナ・デジタル・タイムズが公表した命令書によると、中国の広報当局が24日に報道禁止令を出した。記者は事故報道の代わりに、献血を申し出る人が増えていることや、無料のタクシーサービスが行われていることなど「感動的な記事」に集中するように命じられたという。また、中国政府はメディアに対し、「当局が発表した情報を使って」報道し、「独自のインタビュー」は行わないよう命じた。

 この命令書の詳細は、中国の複数のブログにも掲載された。

 中国当局は事故原因を調査中だが、メディアやインターネットでは、先行する列車が停止しているにもかかわらず後続列車が停止しなかったのは信号系統に問題があったからではないかと指摘されている。

■「命令書」無視する国営メディアも

 一部の国営メディアも26日、当局の批判に回った。さらに、一部の国営メディアは、当局の「命令書」を無視しているようだ。

 26日の国営英字紙・環球時報(Global Times)の第1面には、「回答無しに怒り高まる」との見出しで、犠牲者の家族らへのインタビューが掲載され、公式発表の死者数に疑問を投げかけた。一方で同紙は社説で、「安全性は中国の発展における中心原則であるべき」だが、「盲目的で性急な責任者探しは避けるべきだ」と述べている。

 さらには、中国共産党の英字広報紙「中国日報(China Daily)」も、後続列車の運転手に先行列車の停止が伝わらなかった理由については、「答えられていない疑問」があるとの記事を掲載した。

 インターネット上では率直な意見が飛び交っており、多くのブロガーたちがあからさまな批判を掲載している。

 あるブロガーは「急速すぎる開発を追い求めたことの代償を支払っているのだということを、われわれは受け止めなければならないだろう」と述べた上で、「公共建設を独占する政府や当局者が、モラルや知性、能力といった面で、特に優位性があるわけではないのだ」と記した。(c)AFP/Allison Jackson