【7月21日 AFP】台湾が中国本土からの個人観光客の受け入れを6月末より開始した。地元の高級小売業界は商機を掴むべく、中国人富裕層をターゲットに着々と準備を進めている。

■個人観光客の受け入れをスタート

 台湾は、中国からの団体旅行を08年に解禁。ついに今年の6月28日より個人観光客の受け入れをスタートした。初日には約300人の観光客が台北に到着した。

 フォルモサ・インターナショナル・ホテルズ・コーポレーション(Formosa International Hotels CorporationFIHC)は、51のブランド店舗を展開する台北市内のホテル「ザ・リージェント・タイペイ(The Regent Taipei)」を、1038万ドル(約8億円)かけて改装した。「国際的な企業は、台湾への投資を強化しています。なぜなら、そこに実質的な利益があるからです」とFIHCのエレン・チャン(Ellen Chang)広報担当部長は語る。

■日本を抜き中国が首位に

 昨年には、中国からの台北訪問者数が日本を抜き首位に躍り出た。今回個人旅行が解禁されたことを受け、海外ブランドも地元の高級ブランドも確かな需要を見込んでいる。関係者は、中国人富裕層は、「台湾名物のサンゴや真珠、ヒスイを使った商品や、海外デザイナーの商品、高級時計などを好む」と語る。台湾では、税率によって中国よりも安価に商品を手に入れることができるのだ。

 ミシェル・オバマ(Michelle Obama)米大統領夫人といったセレブリティを顧客に持つ台湾のジュエラー「LUCORAL & LUPEARL」で、最も中国人観光客に人気があるのは6900ドル(約54万円)のサンゴのペンダント。店には観光客が団体で訪れ、商品を購入していく。「LUCORAL & LUPEARL」は昨年、台湾の澎湖諸島にも支店をオープンした。共同経営者のFelicia Lu Chenは、「ビジネスの成長に合わせ、今年中にいくつかの新店舗をオープンする予定だ」と語る。

■観光よりもショッピング

 中国人女性実業家のJiang Guihongさんは、「観光や台湾料理ももちろん好きですが、一番楽しみにしていたのは台北でのショッピングです」と語る。彼女はルイ・ヴィトン (Louis Vuitton)のバッグを手に、首都台北の免税店でゆっくりと商品を吟味する。

 Guihongさんは、ルイ・ヴィトン以外にも約20ものブランド・バッグを持っているというファッション好き。わずか6日間の旅行中に、バッグや化粧品、香水、土産物など3000ドル(約23万5000円)もの商品を購入した。

■観光客を狙うブランドの動き

 高層ビル台北101(Taipei 101)には、「クリスチャン ディオール(Christian Dior)」や「プラダ(Prada)」「ブルガリ(Bulgari)」といった主要ブランド店舗の建設が進んでいる。約10の高級ブランドの店舗には 「それぞれ少なくとも346万ドル(約2億7000万円)もの費用がかかっている」と台北101広報担当のミシェル・リュウ(Michael Liu)は語る。

 昨年度、中国人観光客が台北101内のショップで使った金額は少なくとも3460万ドル(27億2800万円)。「個人観光客の受け入れ開始によって、時間に追われる団体行動よりもより多くの時間をショッピングに使ってもらえることを期待しています」とリュウは期待を寄せた。(c)AFP

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