【7月21日 AFP】(写真追加)中国人がiPadiPhoneにかける情熱は半端ではない。このため、米アップル(Apple)のそっくり製品が横行し、アップル商品をめぐるけんかも後を絶たない。

 だが、中国雲南(Yunnan)省昆明(Kunming)に登場した偽アップルストアは群を抜いている。何しろ店員でさえ、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)最高経営責任者(CEO)の下で働いていると信じているのだ。

 この偽アップルストアは、一見したところ、ロゴマークや店内レイアウトなど、本物のアップルストアと全く変わらないが、BirdAbroadと名乗る米国人女性ブロガーが偽物であることを見破った。

 この女性も最初は本物のアップルストアだと思っていた。だがよく見ると、いくつかおかしなところを見つけたという。

■「Apple Stoer」?

 女性がブログに投稿した同店の写真では、店員たちは本物のアップル店舗同様、アップルのトレードマーク入りの青いTシャツを着用し、胸にはネームバッジを下げている。

 しかし休憩室に通じるらせん階段は出来が悪いし、壁のペンキも塗り方が雑だ。さらに、この店の入り口にはリンゴのロゴに「Apple Store」の文字が添えられているが、本物のアップルストアが掲げているのはリンゴのロゴマークだけだ。

 AFPの取材に対しこの女性ブロガーは、店内の商品については本物のように見えたものの、正直なところ、本物なのか偽物なのかよく分からなかったと語った。しかし店員たちは全員、正規の店舗だと本気で信じているようで、20日の夜にはまだ営業していたという。

 さらに、女性が市内を歩き回ってみたところ、もう2店、偽アップルストアを発見したという。このうち1店舗は、看板に「Apple Store」と表記すべきところを「Apple Stoer」と表記していた。

 米アップルのウェブサイトによると、中国国内のアップル店舗は北京(Beijing)に2店舗、上海(Shanghai)に2店舗あるが、昆明には1店舗もない。また、アップルが製品販売を認可した小売業者のリストにも、このブロガーが指摘した店舗の住所に相当する業者はいなかった。

 偽アップルストアの件について、アップル中国の担当者はコメントを拒否した。(c)AFP