【7月19日 AFP】セネガルの首都ダカール(Dakar)で7月5日から10日までファッションの祭典「ダカールファッションウィーク(Dakar Fashion Week)」が開かれた。

 会期中には、地元セネガルをはじめ、マリやギニア、コートジボワールといった西アフリカ諸国から集まったデザイナーが鮮やかな色彩や独特のプリ ントを使った新作を発表した。

■個性豊かなデザイナーたち

 アメリカを拠点に活動するセネガル人デザイナーのYolande Manciniは、ろうけつ染めが印象的な赤のドレスと、鮮やかなプリントが美しいゴールドのケープ付きドレスを発表した。マリのMaria Bakhoumは伝統的な泥染めを作品に取り入れた。ギニアのAlfredo Monsuyはサテンとシルクを伝統的なワックスプリントと組み合わせた服を発表した。モロッコのMeryem Boussikoukは、アフリカらしいホットな色彩と現代的なカッティングでカフタンにモダンな解釈を加えた。

 アフリカのデザイナーだからといってエスニックなデザインばかりではない。コートジボワールのPatrick Assoは青で統一したスタイリッシュな作品で会場を魅了した。デザイナーの選考を行ったアーティスティック・ディレクターのAlmamy Loは「アフリカ人デザイナーは、アフリカらしい要素抜きでも美しい作品を作り上げている」と語る。

■政府のサポート無しにスタート

 ファッションウィークのオーガナイザーを務めるのは、元モデルで現在はデザイナーとして活躍するアマンダ・パリス(Adama Paris)。彼女は9年前、政府のサポート無しにイベントをスタートした。「この地には市場があり、観客も集まると確信していました。人々はアフリカのファッションを愛し、実際に購入してくれます。それなのに組織化しないなんて、理解できない」とアマンダ。「私も人々も服を販売していますが、流通経路は確立されていません。なので、自分たちができる範囲で販売しています」

 最も難しいのは「自分のデザインを誰かに見てもらうことです」とアマンダは語る。ダカールには、ファッションショーなどのイベントに相応しい会場が無いため、主催者たちはレストランやホテルでショーを開くしかないのだ。

■後押しが必要

 金融危機によってスポンサーが協賛を思い止まり、今年度の予算はカットされた。イベントを取り巻く状況は厳しいが、アマンダは夢に向かって前向きだ。「私たちには、とても素晴らしい才能があります。しかし、後押しが必要なのです」と語り、“アフリカのファッショニスタ”は過小評価されるべきではないと主張する。「村に住む女の子でさえ、最低でも月に一度は美容院に通うほどです」

「今は、アフリカのファッションとテキスタイルが評価されている時代です。私たちは、戦争や死といった点とは異なる方向から、一味違う魅力溢れるアフリカを見てもらいたいと考えています」

 アマンダがアフリカ・ファッションの振興に取り組む一方、地元ではヨーロッパのデザイナーやブランドが高い人気を誇っている。彼女にとっての最大の挑戦は「アフリカに住む人に、地元発のファッションを買ってもらうこと」だという。(c)AFP

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