【7月18日 AFP】エア・カナダ(Air Canada)を利用した米国への2回の旅行中に、フランス語で機内サービスを受けられなかったとして、カナダ人夫妻が同航空会社を相手取り起こした裁判で、カナダの裁判所は1万2000ドル(約95万円)の賠償を命じる判決を言い渡した。この判決に、同国英語圏の人々はあきれ果てているようだ。

 カナダの法律は、フランス語を母語とする旅客が常時5%以上いる定期便では、カナダの公用語である英語とフランス語の両方で機内サービスを提供するよう定めている。カナダのミシェル・ティボドー(Michel Thibodeau)さんと妻のリンダ(Lynda Thibodeau)さん夫妻は、エア・カナダがこの法律に違反していたとして、50万ドルの懲罰的損害賠償を求めていた。

 カナダ裁判所はティボドー夫妻の主張を認め、エア・カナダ社に1万2000ドルの支払いと夫妻への謝罪を命じた。

 トロント・サン(Toronto Sun)紙によれば、夫のミシェルさんは、実は英語もフランス語も流ちょうに話す連邦政府職員だった。同紙コラムニストは、「ティボドー氏のような言語に対する狂信者は、文化的分断の統合に役立たず、むしろ溝を深めるだけだ」と批判した。

 各紙もトロント・サンと同様の論調を展開した。

 ナショナル・ポスト(National Post)紙は、ティボドーさんを「強迫観念的にクーポンを集める人と同じ」と述べ、「スーパーをうろつく代わりに、彼はバス会社や航空会社に付きまとい、バス停や天気、時刻、高度などがフランス語で言われているかどうかに聞き耳をたてている」と批判した。

 同紙はさらに、「今度、ティボドー氏がちょっとした悪さをするようなら、航空会社は割引チケットか炭酸ジュース1ケース分でも進呈するといい」と述べた。「それでもし十分でなく、ティボドー氏がさらに訴訟を起こすようならば、連邦裁判所はティボドー氏に英語とフランス語で通知してあげるべきだろう――時間を無駄にしてくれるなと」(c)AFP