【7月15日 AFP】米アップル(Apple)の韓国法人は14日、多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」の位置情報収集によって精神的な被害を受けたとして慰謝料を求めていた韓国のユーザーに対し、裁判所命令に従って100万ウォン(約7万5000円)を支払ったことを明らかにした。

 このユーザーは、慶尚南道・昌原(Changwon)の弁護士、キム・ヒョンソク(Kim Hyung-Suk)氏(36)。キム氏は、iPhone位置情報の記録機能が個人のプライバシーと自由を保障した韓国の憲法に抵触していると主張し、精神的な苦痛を与えられたとして4月26日、アップルに100万ウォンの慰謝料を求める訴訟を昌原地裁に起こした。

 昌原地裁はプライバシー侵害を認め、アップルに100万ウォンを支払うよう命令。アップルはAFPの取材に、6月末に慰謝料を支払ったことを認めた。

■今月中に集団訴訟か、呼びかけに2万人が参加表明

 iPhoneやタブレット型端末「iPad」が採用するOS「iOS 4」は、緯度と経度から得た位置や時刻情報を記録する機能を備えている。だが、位置情報が暗号化されずに記録される不具合が見つかり、アップルは5月、この不具合を修正したソフトウェアを公開した。

 韓国内には約300万人のiPhoneユーザーがおり、同様の訴訟や判決が相次ぐ可能性がある。

 キム氏もウェブサイトでアップルを訴えるよう呼び掛けており、15日にはAFP記者に対し、今月中にもアップル本社を相手取った集団訴訟を起こす計画だと語った。原告対象者はソフトウェアが修正された5月1日より前にiPhoneかiPadを購入したユーザーで、オンライン上では既に2万人が参加の意思を表明しているという。(c)AFP