【7月13日 AFP】スターバックス(Starbucks)は「キャメル・チャイ・ラテ」のような商品をまだ売り出していないが、ラクダのミルクは深刻な干ばつにたびたび見舞われるケニアのコミュニティーでは極めて重要な食料源となっている。

 ケニア中部では、クシ語系民族の若者たちがぼろをまとい、日の出とともにラクダの乳を搾っている光景が見られる。クシ語系民族の間で何世代も前から大切にされてきたラクダミルクは今、首都ナイロビ(Nairobi)でルネサンス(復興)時代を迎えている。

「ラクダは牛よりいい。干ばつの時、牛は死んでしまうけれどラクダは死なない。だから乾季にも稼ぐことができるの」と、イシオロ(Isiolo)でラクダ84頭を所有するハリマさん(45)は話した。「牛を売ってもっとラクダを増やそうと思うの」

 乾燥したケニア中部は、アフリカ北東部の大半地域同様、近年、例年にない厳しい干ばつを経験。牛乳の生産量が著しく落ち込んだことから、ラクダの価値が高まった。地元の協同組合に所属するハリマさんら女性64人は現在、ナイロビに1日3000~5000リットルのラクダミルクを出荷している。

 この空前のブームを受け、女性たちのラクダミルク販売を支援しているオランダの開発支援団体SNVは、イシオロにミルクバーをオープンさせる計画を立てている。

■国連、「ラクダミルクには大きな潜在力」

 現在、ナイロビにおけるラクダミルクの主な購買層はクシ語系のソマリ人、オロモ人、ボラナ人だが、忘れ去られていたラクダミルクを良質な健康食品として世界中で売り出すチャンスだと言う声もある。

 ヨーグルトやアイスクリームなどのラクダミルク製品を製造する会社「Vital Camel Milk」をケニアに設立したドイツ人、ホルガー・マーバッハ(Holger Marbach)氏によると、ラクダミルクの需要は既に先進国で高くなっている。現在はケニア、南アフリカ、アラブ首長国連邦(UAE)、中南米のスーパーマーケットに販売しているが、「行政・政治上の障壁が取り払われれば」儲けの大きいほかの市場でも売れるはずだとみている。

 ラクダミルクに大きな潜在力が宿っているという点で、専門家の意見は一致している。国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)のウェブサイトは、ラクダミルクについて「牛乳よりもやや塩分が多く、ビタミンCの含有量も牛乳の約3倍。鉄分、不飽和脂肪酸、ビタミンB群も豊富」と説明している。また、年間100億ドルの利益を生み出す一大産業に発展する可能性があると指摘している。(c)AFP/Boris Bachorz