【7月11日 AFP】世界中の民間警備会社に雇われている要員の総数が、各国警官の総数を上回る1950万人~2550万人に達していることが、小型武器に関する国際実態調査で明らかになった。

 6日にスイスのジュネーブ高等国際問題研究所(Graduate Institute of International Studies in GenevaHEI)が発表した2011年版「小型武器概観」によると、公的な治安機関の縮小など世界で昨今、「小さな政府」が潮流となっていることが民間警備業界の成長の要因となっている。民間警備会社の要員数は1980年代半ば以降、速いペースで増加した。

 調査プロジェクトの責任者、キース・クラウゼ(Keith Krause)氏は「刑務所、空港、国境地帯、市街区などの警備をますます民間が担うようになっている。こうした展開が治安の強化になっているのか、逆に低下させているのかが大きな問いだが、その答えは分からない」と述べている。

 警官と民間警備員の比率で目立つ国を挙げると、インドが140万人:700万人、中国が270万人:500万人、米国が88万3600人:200万人。世界でこの差が最も大きい地域は中南米で、例えばグアテマラでは警官1万9974人に対し、民間警備員は12万人だった。また紛争地帯以外で武装度が高いのも中南米で、警備員1人当たりの所持する小型武器は西欧諸国の10倍だった。

 世界全体では、こうした民間警備員が保有する小火器は合計170万~370万丁に上り、申請されていないものや非合法な所持も合わせるとその数はさらに多いと考えられる。世界の警察が保有する小火器2600万丁、世界の軍が保有する2億丁に比べれば少ないが、民間警備会社の保有する小火器の使用については規制や監視の面で透明性がほとんどない。

 白書では「民間警備会社が保有する小火器の実際の数やその種類についてはほとんど報告されていない。また多くの国で、民間警備会社の保有する武器の管理や安全防護策に関する公的基準がなく、警備員たちの訓練も存在しない」と指摘している。

 白書は、民間警備会社の拡大を把握し、業界を国際基準下に置くためにも、業界の透明度を高めることが重要だと呼びかけた。(c)AFP