【7月7日 AFP】豪大の古生物学チームが前週、オーストラリア北部で大きさが自動車ほどもある巨大なウォンバットの化石を発掘した。

 正確に言えば、この動物は現在のウォンバットの親戚にあたる「ディプロトドン」だ。地球上を闊歩(かっぽ)していた有袋類の中でも史上最大のもので、約200万年前から5万年前まで生息していた。

 発見された場所はクイーンズランド(Queensland)州の辺境地で、ディプロトドンの化石が発見された場所としては最北端だった。化石から推測して、その大きさは体高2メートル、体長3.5メートル、体重は3トンはあったと思われる。

 ディプロトドンは、巨大カンガルーや巨大クロコダイルなど、オーストラリア大陸にかつて生息した大型動物相と同じ頃に絶滅している。その時期はオーストラリア大陸で原住民が初めて登場した時期にあたることから、古生物学界では大型動物相の絶滅に人間が果たした役割について熱い議論が交わされてきた。

 ディプロトドンの化石の中でも、今回発見されたものは最も完全に近い状態で骨格が残っており、保存状態も良いことから、かなり正確に死亡時期を特定できそうだ。これは、ディプロトドンの最期には人間の影響があったのか、それとも気候変動が原因だったのかといった謎を解く貴重な手がかりとなるかもしれない。

 化石の発見を6日に発表した豪大チームの1人、スー・ハンド(Sue Hand)教授によると、ディプロトドンは「外見はウォンバットにそっくりで、それを途方もなく大型にしたような動物。現在、存在しているどの動物よりも、ずっと大きかったことは明らか」と語った。

 大型動物相は、オーストラリア大陸の厳しい気候や餌不足に適応するために進化過程で巨大化したと考えられている。ディプロトドンの他にも、オーストラリア先史時代のエミュや、木の上に生息するワニ、肉食カンガルーなどの大型動物がいたことが知られている。(c)AFP