【7月4日 AFP】高齢女性が体外受精を決断する際の判断材料として、ヒト卵子の染色体異常を発見できる新たな試験方法を開発したと、スウェーデンのストックホルムで開催された欧州ヒト生殖学会議(European Society of Human Reproduction and EmbryologyESHRE)で国際研究チームが発表した。

 不妊治療の「革命」との期待がかかるが、一方で開発を通じて、体外受精によって赤ちゃんのダウン症候群発症リスクが高まる危険性があることが示唆されたという。

 英ロンドンブリッジ不妊治療・産科・遺伝学センター(London Bridge Fertility, Gynaecology and Genetics Centre)のアラン・ハンディサイド(Alan Handyside)ディレクター率いる8か国からの科学者チームが開発した新手法は、卵母細胞が減数分裂中に生み出す副産物の「極体」を調べ、流産やダウン症候群などをもたらす染色体数の異常を確認するもの。

 卵子が健康な状態か、損傷しているかを特定でき、試験結果をもとに医師が体外受精の是非をアドバイスすることが可能になるという。

 ハンディサイド氏は、更年期が近づき卵母細胞の残数が少なくなり始める35歳以上の女性が子どもを希望する際に、特にこの新手法が役立つだろうと述べている。

■体外受精にダウン症リスクか

 だが一方で、体外受精により、21番染色体が1本多いことで発症するダウン症候群が増加する恐れが示唆された。研究では、体外受精のためにホルモン刺激を受けた受精卵に、自然な受精卵で見られる異常とは異なる染色体異常の傾向が見られたという。

 原因は確認できていないが、ハンディサイド氏は1つの仮説として、減数分裂中に23本の染色体をつなぎ止めている「接着剤」が排卵誘発剤に溶かされてしまい、受精前の卵細胞の中で染色体の数に異常が生じるのではないかとの可能性を指摘した。(c)AFP