【7月2日 AFP】欧州の研究チームが6月29日、これまで見つかった中で最も遠くにある、中心に超巨大ブラックホールを持つ明るい銀河を発見したと、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。初期宇宙を探る手がかりになるとみられるという。

 今回見つかった「ULAS J1120+0641」はクエーサーと呼ばれる種類の天体で、チリにある欧州南天天文台(European Southern ObservatoryESO)の大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)と、英国がハワイ(Hawaii)で運用している赤外線望遠鏡を使った5年間の観測で見つかった。

 「赤方偏移」という現象の観測から、地球から約129億光年離れていることが分かった。約137億年前に起きたと考えられているビッグバンからわずか約7億7000万年後にこの天体が発した光を捉えたことになるという。これまでに知られていた最も遠いクエーサーからは、ビッグバンから8億7000万年後に発した光が捉えられていた。

 研究チームを率いた英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)のスティーブン・ワレン(Stephen Warren)氏は、「このクエーサーは初期宇宙を調べるうえできわめて重要だ」と語る。「ビッグバン後の数億年間に超巨大ブラックホールがどのように形成されたのか理解する助けとなる」

 観測結果によると、今回見つかったクエーサーのブラックホールは、太陽のおよそ20億倍の質量があるとみられる。現在の一般的な理論では、超巨大ブラックホールは周囲から徐々に物質を吸い込みながら数十億年かけて形成されると考えられているため、どうしてこのような超巨大ブラックホールが短期間に形成されたのかうまく説明できない。(c)AFP