【7月1日 AFP】政府は1日、東京電力と東北電力の管内の大規模な工場やオフィスに対し、15%の節電を求める「電力使用制限令」を発動した。第1次石油危機の1974年以来、37年ぶり。期間は9月までで、故意に違反した事業者には罰金が科される。

 各地では節電対策として、ジャケットやネクタイを着用せずに冷房需要を減らす毎年恒例の「クールビズ」に加え、残業を禁止する自治体や、勤務時間帯をずらして涼しい朝夕や電力需要の少ない週末を有効活用する工場、昼食後2時間の「シエスタ」や長めの夏休みを奨励する企業など、さまざまな試みが始まっている。

 暑い夏に備え、税関当局によると5月の扇風機の輸入台数は前年比70%増の124万台となり、過去最高を記録した。

 とはいえ、節電の成功の是非はこの夏、気温がどの程度上昇するかにもよると専門家は分析する。たとえば前月29日、東京都内の気温は35度まで上昇。冷房需要が急増し、電力使用量は供給能力の93%に達した。計画停電の可能性も懸念されるなか、MFグローバルFXA証券(MFGlobal)のベン・ウェドモア(Ben Wedmore)氏は、「節電はかなり成功すると思う。シフト変更などの効果は大きいだろう。ただ、確証はない」と話している。

 それでも、安価な原子力発電に依存していた日本のエネルギー政策が再考を迫られる中、この夏を乗り切るための新たな勤務形態を見出そうとする企業などの試行錯誤によって、これまでにない形の節電社会に光が当てられる点には期待できるかもしれない。(c)AFP/David Watkins

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