【6月28日 AFP】2012年米大統領選の共和党候補指名争いで、有力候補と目されているミシェル・バックマン(Michele Bachmann)下院議員だが、米テレビFOXニュースチャンネル(Fox News Channel)のインタビューで早くも失言をさらした。

 自分の出身地について触れたバックマン氏は、「ジョン・ウェインも私も米アイオワ(Iowa)州ウォータールー(Waterloo)の出身であることを有権者に知ってほしい。彼と私は同じ精神を共有しているのです」と語った。

 バックマン氏が意味したかったジョン・ウェインとは、もちろん『駅馬車(Stagecoach)』(1939年)、『捜索者(The Searchers)』(1956年)、『勇気ある追跡(True Grit)』(1969年)などの西部劇に主演し、共和党の支持者としても知られた名優ジョン・ウェイン(John Wayne)のことだ。

 だが、俳優ジョン・ウェインの実際の出身地は、米紙ワシントン・ポスト(The Washington Post)も指摘しているように、同じアイオワ州でもウォータールーから車で数時間離れたウィンターセット(Winterset)という街だ。

 一方、バックマン氏と同じウォータールーにも「ジョン・ウェイン」という名の男がいたが、こちらは連続殺人犯でフルネームはジョン・ウェイン・ゲイシー(John Wayne Gacy)という。ゲイシーはウォータールーで犯罪に手を染め始めた後、シカゴ(Chicago)に移り、そこで30件以上の殺人を犯し逮捕されている。

■過去にも多いバックマン氏の珍発言

 実はバックマン氏の失言は、これが初めてではない。過去にも自身の印象を損ねかねない数々の珍発言がある。

 大統領選予備選のスタートを切る重要州のニューハンプシャー(New Hampshire)州を3月に遊説で訪れた際、同州は独立戦争の火蓋を切った「一発の銃声」がとどろいた地だと語った。だが、独立戦争が開戦した州は、同じ東海岸でもマサチューセッツ(Massachusetts)州だ。 

 昨年11月にも、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領のインド訪問について「1日あたり2億ドル(約160億円)もの米国民の血税が投じられている」と批判したが、ホワイトハウス(White House)は即時に「現実的な根拠がない」とバックマン氏のコメントを切り捨てた。同様に独立系政治サイト「factcheck.org」も、アフガニスタンにおける米軍1日当たりの総コストは1億9000万ドル(約155億円)だと指摘して、バックマン氏が挙げた数字に懐疑的な見方を示している。

 さらに日付をさかのぼった2009年4月、米下院でバックマン氏は気候変動に関する科学者たちの警告を真っ向から否定。「二酸化炭素は有害であるかのように言われているが、二酸化炭素が有害なガスであることを示した研究は1つもない」と演説した。

 2008年10月に米テレビMSNBCに出演した際には、民主党員が反米的な思想を持っているかどうか、メディア調査を行うとよいと主張した。「アメリカのメディアは議員たちの信条を大々的に調べて、愛国的か、それとも反米的かを暴いたらよいのにと思う。そんな風に暴露されるのを見るのは楽しいでしょうね」と語った。(c)AFP