【6月27日 AFP】「一流ハッカー」たちが、その優秀なハッキング技術を次世代に伝えるべく、子ども向けのハッカースクールを開催する。

 子どもたちを対象としたハッカースクール「デフコン・キッズ(DEFCON Kids)」は、米ラスベガス(Las Vegas)で8月6日から2日間にわたって開催されるハッカーの年次国際会議「デフコン(DEFCON)」にあわせて開かれる。

「デフコン・キッズ」の企画について、「キングピン(大物)」の異名を持つベテランハッカーのジョー・グランド(Joe Grand)氏(35)は、「ハッカーたちも年をとり、子どもを持つハッカーも増えた」と述べ、「学校ではクラスメートから見下されたり理解されない技術を持っている子どもたちを指導してあげる機会があれば、喜ばしいことだ」と語った。

 グランド氏は過去のイベントで、回路基盤を埋め込んだバッジでのハッキング技術を披露し、参加者を感嘆させている。

 グランド氏自身にも2歳半の息子がいるが、すでにグランド氏の仕事場内に自分の作業スペースを持っており、1人前にハンダ付けができる日が来るのを楽しみにしているという。

■デフコンメンバー内でも賛否両論

 その一方で、子ども向けのハッカーセミナー開催については、デフコンメンバー内でも批判の声が上がっている。

 中でもロックピッキングやソーシャル・エンジニアリングなど、不正な手段で個人情報を盗むハッキング技術を教えることへの批判が強い。

 こうした批判に対し、企業にハッカー対策を講じているクリス・ハドナギー(Chris Hadnagy)氏は「僕たちが子どもたちに悪を教えるかのように、皆身構えるが、決してそんなものではない」と力説する。「批評眼をもって思考し、主体的に考える。デフコンが教えるのは、こういうことだ」

 さらにハドナギー氏は、「インターネットの世界は悪意をもったやからの温床となっている。自分の子どもたちに身につけさせたいのは、そうした世界に巻き込まれないための技術だ。相手がクラスメートであろうと、悪意を持った大人であろうとね」と付け加えた。
 
「デフコン・キッズ」に関する情報は、「defconkids.org」(英語サイト)に掲載されている。(c)AFP/Glenn Chapman