【6月26日 AFP】米フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)のスペイン語紙エル・ヌエボ・ヘラルド(El Nuevo Herald)は25日、複数の米情報当局者の話として、キューバ訪問中に緊急手術を受けたベネズエラのウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領(56)の容態は「深刻」だが安定していると報じた。

 これによると、チャベス大統領は前立腺がんの治療を受けているというベネズエラ国内で流れているうわさについて、複数の米情報当局者がコメントすることを拒否した。しかしそのうちの1人は、大統領は「生命の危機にはないが重症で、複雑な病状だ」と語ったという。

 またこの米当局者は、チャベス大統領の娘と、同大統領の母親が空軍機でキューバに向かったとも述べた。25日夜にベネズエラの副大統領や情報相はこの報道を否定した。

■キューバ訪問中に鋭い痛みで緊急手術

 南米3か国歴訪でブラジルとエクアドルに続き8日にキューバ入りしたチャベス大統領は、10日に鋭い痛みを訴えてキューバの首都ハバナ(Havana)で緊急入院し、骨盤の膿瘍と診断されて手術を受け、順調に回復しつつあるとベネズエラ政府は発表している。チャベス大統領の兄弟は、同大統領は2週間ほどでベネズエラに帰国できると話している。

 奔放な発言で知られるチャベス大統領が珍しく沈黙を続けたことから、同大統領に批判的な勢力からは、美容整形手術を受けたのではないかとか、病気で同情を引いて2012年の大統領選で3期目を目指すつもりではないかなどという憶測が流れた。

 チャベス大統領自身は24日になってようやくツイッター(Twitter)に書き込み、末娘と3人の孫が自分を見舞うためキューバに到着したことを明らかにしたが、それまでの2週間に何をしていたのかについては触れなかった。

 ベネズエラ政府はチャベス大統領の病状を詳しく説明していない。野党の複数の議員は、大統領が国外から統治を続けるのは違憲だと批判している。(c)AFP