【6月26日 AFP】タフで頭も切れる男たちを擁しているのは、ドイツの首都ベルリン(Berlin)か、はたまた英国の首都ロンドン(London)か─チェスとボクシングを組み合わせた新競技「チェスボクシング」の英独首都対抗戦が24日にベルリンで行われるのを前に、両チームが22日、記者会見で言葉のジャブを応酬した。

 チェスボクシングのルールはシンプルだ。ボクシングのリング上で、紳士然として4分間チェスをプレーした後、次は普通のボクシングの1ラウンドと同じ3分間、同じリング上で激しく打ち合う。これを交互に続け、1試合はチェスを6ラウンド、ボクシングを5ラウンドの計11ラウンドで構成される。

 ボクシングでルール違反を犯すか、チェスで1手の時間制限を越えてしまえば失格。ボクシングで相手をノックアウトするか、チェスでチェックメイトすれば勝者だ。今回は両都市から3人ずつ出場し、体力と知力の限界を競う。

 ベルリンで記者会見した両チームは、早速ライバル心をのぞかせた。ロンドンのクラブのティム・ウールガー(Tim Woolgar)会長が「ベルリンのクラブの『もてなしは手厚くて』、いまだ紅茶の1杯も出してもらっていない。そもそもベルリンの会長がこのスポーツの発明者だと主張している点さえ疑問だ」と皮肉を浴びせると、対するベルリンのクラブのイップ・ルービン(Iepe Rubingh)会長は「ティムが何を期待しているのか知らないが、24日は英国のチームに3-0で全勝する。両者の間には強いライバル心があり、どちらも勝利を求めている。その後に紅茶でも何でも出そう」と切り返した。

 チェスボクシングが公式に開始されたのは2003年。着想の下敷きとなったのはフランスのコミック作家、エンキ・ビラル(Enki Bilal)氏の92年の作品「冷たい赤道」で、そこに描かれているチェスボクシングを、元アーティストのルービン氏が実際のリングに持ち込んだ。

 ルービン氏はAFPの取材に「チェスとボクシングの間にはずっと互いにひきつけあう力が存在していたんだ。故ボビー・フィッシャー(Bobby Fischer)氏(元チェス世界チャンピオン)がチェスの試合に臨む前、ボクシングのグローブをはめて構えている写真だって残っている。私はチェスとボクシングの両方のプロの助けを借りて、チェスボクシングを本格的なスポーツにした」と述べた。

 何のために?「これこそが世界で一番、魅力的なスポーツだからだよ。要求されることがすごく多いからね。体と心を毎日同時に、集中的に鍛えなければならない。どれだけ大変なのかことか想像できないと思う。世界で最も体力と知力を兼ね備えた男が誰か、数年のうちに分かると思うよ」(c)AFP/Ryland James