【6月24日 AFP】英ロンドン(London)のアートギャラリーKK Outletに展示されている絵画や写真は、作品の質も作風もばらばらだ。これらの唯一の共通点は、全てタクシーやバス、地下鉄内に置き忘れられ、持ち主が現れていない物だということだ。

 これらの作品は、KK Outletで6月いっぱい開催されている「The Lost Collection(遺失物展)」の展示作品で、ロンドン交通局(Transport for London)の遺失物保管室に保管されていたものだ。60点あまりの絵やスケッチ、写真の中には、作者の署名が入っているものもあるが、持ち主が引き取りに現れたことはない。少なくとも、これまでのところは。

 KK Outletのアートディレクター、リチャード・ウォーカー(Richard Walker)氏は、作品自体は価値のあるものではないが、ある人にとっては情熱と時間を注いで完成させたものであったり、または私的な所有物であることに本質的な価値があることに興味を抱き、そうした作品に展示される機会を提供しようと同展を企画したと話した。

 ウォーカー氏によると、遺失物展を訪れ多くの人びとの中には、展示作品を売って欲しいとの要望もあったが、展示品はロンドン交通局の所有物となっているため販売はできないという。(c)AFP/Nathalie Auriol