【6月23日 AFP】北アイルランド・ベルファスト(Belfast)東部で20日、プロテスタント勢力とカトリック勢力の大規模な衝突が起きた。暴徒化した人々は警官隊とも衝突を繰り返し、21日には取材中のカメラマンが銃撃され負傷。3日目の22日夜は武装警察が展開し大きな衝突はなかったが、にらみ合った200人ほどが石や瓶などを投げ合うなど、ここ数年で最悪の宗派間抗争が続いている。

 衝突が起きているのは、ベルファスト東部のプロテスタント地区にはさまれたカトリック地区、ショートストランド(Short Strand)付近。地元当局によると衝突は、プロテスタント系とみられる一団が同地区の住宅を襲撃したことがきっかけで始まった。北アイルランド警察は、英国による統治存続を望み和平プロセスに反対しているプロテスタント系武装組織、アルスター義勇軍(Ulster Volunteer ForceUVF)の東ベルファストのグループが衝突の発端だと非難している。

 21日夜の衝突では、暴徒らが警官隊に向けて火炎瓶などを投げ、警官隊が放水で応酬するなか、現場で取材していた英通信社プレス・アソシエーション(Press AssociationPA)のカメラマン1人が足を撃たれ病院に運ばれた。現場にいたAFPカメラマンによると、レンガ塀の向こうに銃を持った手が見えた直後に4、5発の銃声が聞こえた。銃撃はカトリック地区側から無差別にあったという。

 北アイルランドでは、プロテスタント勢力が毎年7月、1690年にプロテスタント英国王ウィリアム3世(オレンジ公ウィリアム)がカトリックのスコットランド王ジェームズ2世を破ったボイン川の戦い(Battle of the Boyne)の勝利を祝う大行進を行い、しばしばカトリック勢力と衝突を繰り返している。(c)AFP/Sam Reeves