【6月22日 AFP】南極を生息地とするコウテイペンギンが、1羽だけで3000キロ離れたニュージーランドに出現し、専門家たちを驚かせている。

 22日のニュージーランド自然保護省(DoC)の発表によると、同国北島にある首都ウェリントン(Wellington)の北わずか40キロの海岸、カピティ・コースト(Kapiti Coast)で20日午後、1羽の若いオスのコウテイペンギンが発見された。

 ニュージーランドでコウテイペンギンが見つかった例は、過去1967年に同国南島で1度、記録されているだけだという。

 コウテイペンギンは体長115センチ程度まで育ち、ペンギンの中では最大で見分けるのも容易だが、DoCのピーター・シンプソン(Peter Simpson)報道官は「話を最初に聞いた時は信じられず、アシカか何かの1種ではないかと思った。しかし現場へ行ってみると本物のコウテイペンギンだったので、我々はみんな非常に驚いた」と語った。

 同氏によると、ペンギンは健康上は何の問題もなさそうで、南極に比べればかなり暖かい海で、体を冷却するために普通どおり泳いでいるという。

「南極にいれば、この時季は極夜で1日中、日が昇らず、海氷の上でじっと座っているはず。コウテイペンギンは南極の夏の間に食物を求めて海に出るが、このペンギンは若く、きっと海に出たのが初めてで、思わず遠くまで行き過ぎ迷ってしまったのではないか」とシンプソン氏は述べている。現在は自然保護官が監視しているが、最終的には遠い故郷に帰ってくれること期待している。

「彼に帰巣本能のようなものが備わっていることを願ってるよ」(c)AFP