【6月20日 AFP】米東海岸のボルティモア(Baltimore)在住のイーライ・ナウアー(Eli Knauer)君(10)は、身長120センチの小柄な体で、ジューシーな肉料理や甘いデザートにせっせとかぶりつく。彼は普通の少年ではない。わずか10歳にして、料理評論家として名をはせているのだ。週に1度は両親と共にレストランに通い、豊富なボキャブラリーで料理をほめ、時にけなす。
 
 イーライ君は2010年の夏休み、母親にこう言った。「大きくなったら料理評論家になりたい」。母親は「それなら、まずはブログを書きなさい」と息子に助言した。

 そうしてイーライ君が書き始めたブログ「Adventures of a Koodie(子ども美食家の冒険)」は、大きな話題を呼んでいる。地元ボルティモアとその近郊、そして家族旅行先のレストランを批評したブログ記事は、1年弱で50本を超えた。現在の定期購読者は約120人で、これまでに約4万3000ページビューを稼いだ。今では、イーライ君の学校の先生たちも、子どもを連れて外食する時にイーライ君のブログを参照しているという。

■おいしいだけじゃ駄目、「子ども評論家」のこだわり

 イーライ君は最近になって、批評の際に「見るべきポイント」がはっきり分かってきた。肉の場合は「ジューシーさ」、デザートは「甘さ」、チーズは「ネバネバ感」だ。

 ただし、料理がおいしいだけでは、レストランがイーライ君から最高の「5つ星」を獲得することはできない。子どもに優しい環境を整える必要があるのだ。たとえば、キッズエリアやテレビがあって子ども向けのアニメや映画を見ることができたり、メニューにお子様向けや子どもが大好きなピザなどがある、といった点が評価される。

 イーライ君の両親、ジェイソンさんとシェリルさんは、ブログを続けなさいと息子に言っている。4歳になってようやく話し始めたような息子がブログに熱中し、その文章で多くのファンを獲得したことに、2人は内心驚いている。「息子の文章は上達しました。ブログのおかげでボキャブラリーも飛躍的に伸び、会話も上手になりました」とシェリルさん。

 なお、イーライ君はテレビやラジオ、新聞に取材されるようになってちょっとした有名人になったが、学校では友人たちから特別扱いされることもなく、漫画やテレビゲームを愛するごく普通の子どもだという。

■有名高級レストランも子ども目線でバッサリ

 イーライ君は先日、高級ステーキレストラン「モートンズ・ザ・ステーキハウス(Morton's The Steakhouse)」に行った。「店員が蝶ネクタイをつけ、シェフの帽子はしゃれている、極上のレストラン」とイーライ君。カップルたちが静かに会話をしている中、オニオンブレッドの大きなバスケットが運ばれてくるとイーライ君は有頂天になり、すぐに平らげた。「最高においしかった!」

 次に、イーライ君の顔の2倍もあるベーコンチーズバーガーが、フライドポテトとコーラと共にやってきた。4分の1も食べられなかったイーライ君は、ブログにこう書いた。「このバーガーは大きすぎるので、子どもには優しくありません」

 結局、料理には5つ星、子どもへの優しさには1.5個の星をつけた。「このレストランは、おとなしい子ども、お上品ぶるのが好きな子どもには向いていますが、7歳以下にはおすすめできません」

 イーライ君は抜け目なく食後のデザートの入る余地をお腹に残しておいた。選んだのは「Legendary Sundae(伝説のサンデー)」。塔のようにそびえるチョコレートケーキにバニラアイスとホイップクリームをたっぷりトッピングし、てっぺんにマラスキーノチェリーを飾ったサンデーを目にしたイーライ君は、口をぽかんと開け、目も飛び出さんばかりに丸くした。

 彼の批評は次の通り。「モートンズに子どもを連れて行くなら、完全に腹ペコかどうか確認しましょう。じゃないと、料理をたいらげることはできません。でも、とてつもなく大きい『Legendary Hot Fudge Sundae(伝説のホットファッジサンデー)』は、子どもがたいらげないよう注意してください。とてつもなくひどい腹痛を起こす羽目になりますから!」 (c)AFP/Olivia Hampton

【動画】子ども目線でズバッと判定、10歳の料理評論家(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)

【参考】イーライ・ナウアー君のブログ「Adventures of a Koodie(子ども美食家の冒険)」(英語)