【6月20日 AFP】米ルイジアナ(Louisiana)州ニューオーリンズ(New Orleans)で2005年8月末のハリケーン・カトリーナ(Hurricane Katrina)襲来時に、無差別発砲で市民2人を射殺、多数を負傷させて起訴された警察官5人の裁判が、次週にも始まる。

 起訴された警察官5人は、市内のダンジガー橋(Danziger Bridge)で銃撃が発生との誤ったラジオ報道を聞き、現場に急行。洪水を逃れて避難しようとしていた家族らに向けて発砲し、精神障害のある男性と高校生の少年ら2人を射殺。他の家族らにも重傷を負わせた。被害者女性の1人は警察官の銃撃で、腕を失っている。

 5人のうち4人は、銃撃と事件の隠蔽(いんぺい)をはかった罪で起訴された。有罪となれば終身刑となる可能性がある。一方、銃撃時に現場にいなかったとされ、事実隠蔽の罪のみで起訴された1人についての最高刑は禁錮120年。

 この事件は、市当局の市民保護能力の欠如に加え、警察が事実の隠蔽をはかったことから、警察に深く根ざした腐敗の実態を浮き彫りにした。

 ハリケーンカトリーナは、ニューオーリンズに壊滅的な洪水をもたらした。適切な補修が行われていなかった堤防が決壊して市の80%が冠水。数千人が家屋の屋根に逃れる事態となった。

 こうした混乱のなかで、市内では略奪が横行し武装集団がうろついているとの噂が広まり、市当局は救援活動もそこそこに、軍を動員した犯罪行為の取締りに対策を切り替えていた。(c)AFP/Jordan Flaherty

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