【6月16日 AFP】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)は15日に発表した報告書で、鉛による環境汚染が激しい中国の4省で、当局が鉛中毒の検査を厳しく制限したり、検査結果を改ざんしたりするだけでなく、鉛中毒になった子どもの治療を拒否していると糾弾した。

「My Children Have Been Poisoned: A Public Health Crisis in Four Chinese Provinces」(私の子どもたちは毒にさらされた─中国4省の公衆衛生危機)と題された報告書でHRWは、河南(Henan)省、雲南(Yunnan)省、陝西(Shaanxi)省、湖南(Hunan)省の4省の当局者が、地元の子どもに広がっている鉛中毒を隠蔽しようと血液検査などを制限していると指摘し、「生命を脅かす水準の鉛に子どものうちに継続してさらされた世代の短期的・長期的な健康への影響を、自治体当局は無視しようとしている」と批判した。

 報告書では、鉛を垂れ流している工場が近くにある地方部の貧しい村で、数十万人規模の子どもたちが鉛中毒になっていると推計している。

 中国政府は環境汚染問題への取り組みを約束してはいるが、省以下の多くの地方自治体は経済成長のノルマ達成と、工場に環境基準を守らせることの間で板挟みになっている。(c)AFP/Peter Brieger