【6月13日 AFP】ブログでシリアの民衆蜂起を訴え、当局に身柄を拘束されたとして解放運動が起きていた同性愛者の女性ブロガー「アミナ・アブドラ(Amina Abdullah)」さんが、実は英スコットランド在住の米国人男性の創作した人物だったことが、本人の告白で12日明らかになった。

「アミナ・アブドラ」さんのブログ「A Gay Girl in Damascus(ダマスカスのゲイ・ガール)」は、「人生や世界などについてのレズビアンの考え」に基づいて民主化要求運動に関する報告を行い、世界的に有名となった。

 ところが7日、アブドラさんがシリアの首都ダマスカス(Damascus)の路上で武装した男3人に誘拐され、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領支持のステッカーの貼られた車で連れ去られたとの記事が、アブドラさんのブログに親戚名義で掲載され、インターネットを通じて懸念が広がった。米SNSフェイスブック(Facebook)には「アミナ・アブドラを解放せよ(Free Amina Abdullah)」とのグループが立ち上がり、1万5000人が支持を表明していた。

 その一方で、アブドラさんが実在しないのではないかとの疑惑も広がった。

 こうした中、英エディンバラ大学(University of Edinburgh)の修士課程で学ぶ米国人トム・マクマスター(Tom MacMaster)氏(40)が12日、「わたしがアミナ・アブドラだ」と表明。自分が、アブドラさんとして記事を執筆していたことをブログで明かした。

 マクマスター氏は、「こんなに注目を集めるとは思ってもみなかった。読者に謝罪する」と述べた上で、「語り手は創作だったとはいえ、ブログに書かれていることは真実であり、現地の状況について誤解を招くような内容ではない」と主張した。

「誰かを傷つけたとは思っていない。自分が強い関心を持つ問題について、発言力のある語り手を生み出したと考えている。人びとが今年の革命と同じくらい、中東の人びとや彼らの苦しみに注目してくれればいいと望んでいるだけだ」

 マクマスター氏は中東問題の活動家で、妻はやはりスコットランドのセントアンドルーズ大学(St Andrews University)の博士課程でシリアの開発経済学を研究しているという。

 しかし、アブドラさんが実在しないことが判明したことで、アブドラさんの解放を求めて活動してきた人びとを中心に、激しい非難も起きている。(c)AFP

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