【6月7日 AFP】米オハイオ(Ohio)州クリーブランド(Cleveland)の住宅周辺から女性11人の遺体が発見された事件で殺人未遂や強姦などの罪に問われたアンソニー・ソーウェル(Anthony Sowell)被告の裁判で6日、陪審員の選定が始まった。陪審員の選定が完了すれば6月半ばにも初公判が開かれ、冒頭陳述が行われる。

 ソーウェル被告は2年以上にわたって遺体を隠し、遺体から漂う異臭を「近所のソーセージ工場のにおい」だと主張していたとされている。事件は2009年10月29日に発覚したが、なぜもっと早く発見できなかったのか、当局は説明に追われている。

 ソーウェル被告が殺害したとされる女性たちは、全員が非常に貧しい黒人で、たびたび路上生活を余儀なくされていた。このことが女性たちの失踪発覚の遅れの一因となった。

 だが一方で、警察は犠牲者たちの助けを求める声を無視したという側面もあった。警察が適切な対応をしていれば犠牲者のうち6人は命が救われた可能性もある。

■複数の被害証言を無視

 2008年12月、血まみれの女性が警察に現れ、ソーウェル被告の住宅から命がけで逃げてきたと訴えた。警察官は、ソーウェル被告の自宅で、血痕や争った跡を見つけたものの、女性の証言は信用できないとしてソーウェル被告を逮捕しなかった。

 2009年4月には別の女性が、ソーウェル被告から「動物のようにしつける必要がある」と言われて同被告の自宅で3日間にわたって繰り返し性的暴行を受けたと警察に助けを求めた。2009年9月には3人目の女性が警察に駆け込み、ソーウェル被告に自宅に連れ込まれ、ケーブルで縛り付けられて性的暴行を受けたと訴えていた。

 警察が逮捕状を持ってソーウェル被告の自宅のドアをノックしたのは、それからさらに1か月後の09年10月だった。

 ソーウェル被告はノックに応じず、踏み込んだ警察官は死臭をたどって3階に上がり、ベッドの上に横たわる腐敗した2遺体を発見した。その後1週間にわたる自宅や庭の捜索で、警察はさらに8遺体を発見。さらに人間の頭がい骨が入ったバケツも見つかった。

 ソーウェル被告は、誘拐や強姦、屍姦、強盗、殺人未遂など100近い罪で起訴されており、有罪になれば死刑が言い渡される可能性がある。(c)AFP/Steve Miller