【5月30日 AFP】セルビア戦犯法廷のブラディミル・ブクチェビッチ(Vladimir Vukcevic)検察官(60)のオフィスに4年にわたって飾られていた、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争(1992~95年)の大物戦犯2人の顔写真付きビンテージワイン2本が、ついに乾杯のときを迎えた。

 2本の2005年物オーストラリア産カベルネ・ソーヴィニヨンは、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(International Criminal Tribunal for the former YugoslaviaICTY)のカーラ・デルポンテ(Carla Del Ponte)元主任検察官がブクチェビッチ氏に寄贈したもの。紛争当時の残虐行為で戦争犯罪などに問われているラドバン・カラジッチ(Radovan Karadzic)被告とラトコ・ムラディッチ(Ratko Mladic)被告の顔写真が、ラベルに印刷されている。2被告を拘束した暁に、乾杯しようと約束していたという。

「ついに正義に乾杯する日が来ました」と、ブクチェビッチ氏は28日、AFPの取材に語った。

 ブクチェビッチ氏は2006年に現職に就き、以来旧ユーゴ戦犯の行方を追い続けてきた。08年にカラジッチ被告を拘束した際、1本目のワインを開けようかどうか悩んだという。09年のカラジッチ被告初公判のときにも、乾杯しようかと悩んだ。だが、ムラディッチ被告を拘束するまでは祝杯は上げられないと、誘惑を断ち切ったのだという。
 
 26日のムラディッチ被告拘束で、4年越しの念願がかなうこととなった。(c)AFP