【5月15日 AFP】ただでさえ気味の悪いトコジラミ(ナンキンムシ)が、今以上に身の毛のよだつ存在になることがあるだろうか?――どうやら答えは「イエス」のようだ。

 カナダ・バンクーバー(Vancouver)市内の貧困地区のトコジラミから、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)など薬物耐性のある病原菌が検出されたとの報告が11日、米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)の専門誌「Emerging Infectious Diseases」に掲載された。

 病原菌が見つかったのは、バンクーバー中心部の荒廃した地区にある病院の入院患者3人の体から捕獲したトコジラミ5匹。この地区は、貧困率やHIV感染率が高く、薬物注射の常用者も多い。

 VREやMRSAがトコジラミからヒトに感染したのか、逆にヒトからトコジラミに感染したのかは分かっていない。

 トコジラミが病原体を伝播するという決定的な証拠はこれまでに報告されておらず、さらに研究が必要だと報告書は述べている。MRSAを運ぶトコジラミが人間の肌についているときにその部位を掻(か)くと、すり傷から感染する可能性があるという。

 MRSA感染は病院などでみられるようになっており、血流や手術創傷に入り込むと死に至る危険性もある。また、VREは人間の皮膚や腸内に普段から存在している菌だが、免疫力が低下していたり病気中の場合には深刻な健康被害を及ぼすことがある。(c)AFP