【5月14日 AFP】犯罪が多発するメキシコの町で、20歳という若さで警察署長に就任した後、脅迫を受けて米国に避難した女性、マリソル・バジェス(Marisol Valles)さんが逃亡後初めてテレビのインタビューに応じ、「自分は無知だった」と語った。

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 インタビューは11日、米ABCテレビで放映。就任当時は犯罪学専攻の大学生だったバジェスさんは、「こんな恐ろしいことになるとは思わなかった。わたしは無知すぎたかもしれない。自分や家族、子どもを殺すと脅されて、いつも怯えて、眠れなかった。いつ襲われるんだろうといつも考えていた」と恐怖の心情を語り、「家族と静かに暮らしたい」と話した。バジェスさんは現在米国で亡命を希望している。

 バジェスさんはメキシコでも最も治安が悪い都市シウダー・フアレス(Ciudad Juarez)の近郊で、米国との国境沿いに位置する人口4800人の町、プラセディス・グアダルーペ・ゲレロ(Praxedis Guadalupe Guerrero)で警察署長に就任。町長とその息子が暗殺され、他の候補者が辞退した末の決定だった。しかし相次ぐ脅迫を受け、3月にこの町から姿を消していた。メキシコ警察当局は逃亡後、バジェスさんを警察署長から解任している。

 今回の事態で、米国との国境沿いの地域の治安悪化が浮き彫りとなった。こうした地域では、大きな収入源となる米国へのドラッグ密売ルートをめぐり、麻薬組織が激しい抗争を続けている。

 報道によると、政府が2006年に軍による麻薬組織取り締まりを始めて以来、ドラッグに関連する暴力での死者数は3万7000人に上る。(c)AFP

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