【4月23日 AFP】中国西安(Xian)の裁判所は22日、車で女性をはねた後、軽傷だったこの女性を刺し殺した男子学生に死刑判決を下した。

 新華社(Xinhua)通信によると、音大生だった薬ジアシン(Yao Jiaxin)被告(21)は昨年10月20日、自転車に乗っていた張妙(Zhang Miao)さん(26)を車ではねてしまった。張さんのけがは軽傷だったが、薬被告は張さんを助けるどころか、持っていたナイフで張さんを殺害した。張さんが薬被告の車のナンバーを目撃していたためだったという。薬被告は現場から逃走したが、後に逮捕された。

 裁判所は、事件を「極めて卑劣で残虐」と断じ、薬被告が罪を認め悔恨の情を見せているにも関わらず、死刑を言い渡した。被告にはさらに、2歳児の母親でもあった張さんの家族に対し、慰謝料4万5000元(約60万円)の支払いも命じた。

 事件によって、中国社会には、経済の急成長で出現した富裕層の子息の若者たちにみられる特権の誇示やモラルの欠如の問題に、改めて大きな波紋が広がっている。

 薬被告への死刑判決に対する反応も様々だ。中国の人気ポータルサイト「Sina.com」への投稿は、情状酌量を主張するものと、判決を支持するものに二分されている。「世論がこれほど厳しくなければ、死刑判決には至らなかったのではないか」と死刑判決を疑問視する投稿がある一方、判決を支持する書き込みもみられた。

 中国では1月にも、河北省の大学構内で李啓銘(Li Qiming)被告(23)が飲酒運転で女性2人をはね、1人を死亡させながら、父親は警察幹部だと豪語して、その場を逃れようとした事件があった。李被告には、禁錮6年の判決が下されている。(c)AFP

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