【4月3日 AFP】米国の牧師が前月、イスラム教の聖典コーランを燃やしたことに反発し、アフガニスタンで激しい抗議行動が相次ぎ、これまでに17人が死亡した。

 コーランを燃やしたのはフロリダ州(Florida)ゲーンズビル(Gainesville)にあるキリスト教福音派教会「ダブ・ワールアウトリーチ・センター(Dove World Outreach Center)」のテリー・ジョーンズ(Terry Jones)牧師ら。アフガニスタンに展開する兵士など米国人が危険にさらされるとして、コーランを燃やさないよう以前から申し入れられていたにもかかわらず、3月20日にコーランを燃やしていた。

 これに怒ったアフガニスタン北部のマザリシャリフ(Mazar-i-Sharif)の住民たちが1日、国連(UN)の現地事務所を襲撃し、国連職員ら7人が死亡した。2001年以降、アフガニスタンで国連を狙った襲撃事件としては最悪のものになった。

 翌2日には南部のカンダハル(Kandahar)のデモで10人が死亡した。

 カンダハルは米国などの支援を受けたハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領政権と戦闘を続けている同国の旧支配勢力タリバン(Taliban)の精神的な中心地。警官隊は、「アメリカに死を」「カルザイに死を」などと口々に叫ぶデモ隊が国連事務所や州の行政機関に近づかないよう、銃を空に向けて威嚇射撃を行った。車やタイヤに火が放たれ、いくつかの建物が損傷を受けた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は2日、コーランを燃やしたのは「極めて不寛容で偏狭な行為」だとして牧師の行為を厳しく批判するとともに、「なんの落ち度もない人の頭を切り落とすことを容認する宗教などない」と述べ、デモ隊が怒りにまかせて襲撃したのは人間の良識と尊厳に対する侮辱だと批判した。(c)AFP