【4月3日 AFP】マレーシア北部ペラ(Perak)州のイスラム指導者が1日、現地で人気のラインダンス「ポコポコダンス」が実際には宗教的実践であり、イスラム教徒の容認できない「キリスト教儀式」であるとして、このダンスを同州で禁止したと宣言した。

 ペラ州のハルサーニ・ザカリア(Harussani Zakaria)師はAFPの取材に、ラインダンスの一種「ポコポコダンス」がイスラム法に反していると語った。

「ポコポコダンスは、実際は宗教的なダンスだ。われわれが調査したところ、このダンスはジャマイカ発祥。ダンスの中にはキリスト教儀式が多く組み込まれており、十字を切る動作などを模した動きがあり、イスラムでは認めることができない」と、ザカリア氏は語った。「ポコポコダンスは、キリスト教徒の多いフィリピンやインドネシアの一部でも踊られている。だからダンスにはキリスト教の影響が多くみられる。それらはイスラムと相反するものだ」

 ポコポコダンスはマレーシアでは人気のダンスで、多くの大人がフィットネス運動の一環として踊りを楽しんでいる。

 ポコポコダンスの由来は定かではないが、インドネシアで20年以上前に、ポコポコと呼ばれる歌と一緒に始まったとされている。また、ジャマイカの言葉にも「精霊にとりつかれて踊る野生のダンス」といった意味で同じ「ポコポコ」という言葉がある。

■マレーシアの「イスラム化」に懸念も

 イスラム教徒のマレー系人口が多数派を占めるマレーシアでは、中国系やインド系の住民が、本来は多民族国家のマレーシアが「イスラム化」し始めていると懸念を示している。

 2008年には、マレーシアのイスラム最高機関、全国ファトワ評議会(National Fatwa Council)がイスラムの信仰を弱めるものだとしてヨガを禁止する宗教令を出し、穏健派のイスラム教徒も反発。アブドラ・バダウィ(Abdullah Ahmad Badawi)首相(当時)が急きょ、ヒンズー教の要素が含まれない限りイスラム教徒もヨガをしてよいという見解を示す事態が起きた。(c)AFP

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