【3月29日 AFP】米TVアニメ「ザ・シンプソンズ(The Simpsons)」をドイツで放映している放送局は28日、東京電力福島第1原子力発電所の事故を踏まえ、原子力発電所のトラブルに関するエピソードは放送しないと発表した。

 放送局Pro7の広報担当者はAFPに対し、「わたしたちはすべてのエピソードをチェックしています。疑わしいエピソードは放送しませんが、エピソードの一部をカットすることはしません」と説明した。

 しかし、シンプソン一家が暮らすスプリングフィールド(Springfield)の原子力発電所は同アニメの重要なポイントとなっており、父親ホーマー(Homer)の勤務先でもある。

 過去のエピソードでは、核廃棄物が子どもたちの遊び場に捨てられたり、プルトニウムが文鎮の代わりに使われたり、冷却装置にひびが入るなどの場面があった。ネズミが発光したり、突然変異により魚の目が3つになったり、メルトダウンに近い状態になるなどのシーンも描かれた。

 広報担当者は「すべてを変えてしまうことはできない」と語った。

 ドイツ国民は原子力の危険性に対し特に不安に感じているという調査結果があり、放射性廃棄物の輸送には抗議が行われている。

 福島第1原発の事故を受けて、26日にはドイツ各地で原子力発電所に反対するデモが行われ、主催者側によれば25万人が参加したという。(c)AFP